行政書士の主な業務の1つに、「民事法務業務」があります。今回は、この「民事法務業務」について詳しくまとめます。行政書士は、法律に基づいて書類を作成し、行政手続きや法律事務を代行する専門職です。その中でも「民事法務業務」は、日常生活に密接に関連する法的なサポートを提供するため、市民にとって非常に身近で重要な業務です。
行政書士の業務は多岐にわたりますが、その中で「民事法務業務」は特に幅広い分野をカバーしています。例えば、契約書の作成や相続に関する手続き、離婚協議書の作成など、個人や家庭に関わる様々な法律事務を取り扱います。このように、行政書士は市民の生活に密着した法律問題を解決する「街の法律家」としての役割を果たしています。
また、行政書士の「民事法務業務」は、他の士業と協力しながら進められることが多いです。例えば、弁護士や司法書士と連携して、より複雑な法的問題に対応することもあります。そのため、業務の際には他の士業との境界線(業際)をしっかりと理解し、適切に対応することが求められます。
今回は、こうした「民事法務業務」に焦点を当て、その具体的な内容や業務の範囲、他の士業との関係について詳しく解説します。これにより、行政書士がどのように市民の日常生活をサポートしているのか、その全貌を明らかにしていきたいと思います。
・民亊法務(市民法務)に興味がある方
・新人行政書士の方
・行政書士試験受験生の方
行政書士の業務内容
行政書士の業務内容は大きく2つに分類されます。
・許認可申請業務
・民事法務業務
「許認可申請業務」とは、官公庁への各種許認可申請を行う業務のことです。行政書士しかできない「独占業務」とされている業務も多く存在するため、許認可申請業務を主な業務としている行政書士は多いです。
詳しくは、行政書士の許認可申請業務とは?でまとめていますので、ご覧下さい。
今回は、「民事法務業務」に焦点を当てます。
民事法務業務とは?
「民事法務業務」とは、一般的な生活における法的事務を指します。いわゆる「街の法律家」としての業務です。
「市民法務」と呼ばれることもあります。
許認可申請業務と違い、チェックを受けないで作成する書面が多いため、大きな責任とリスクが伴います。
また、弁護士や司法書士などとの業際問題にとても注意しなければなりません。行政書士法に定められた行政書士業務の範囲内において適法に業務に取り組む必要があります。
業務の種類
日常生活における法的事務である民事法務業務には、たくさんの種類があります。以下、具体例をいくつか書いておきます。
・各種契約書等作成業務
著作権利用許諾契約書、債権譲渡契約書など
・各種通知書等作成業務
契約解除通知書、相殺通知書など
・遺産分割協議書作成業務
相続関係説明図や相続財産目録なども作成する。
・遺言書作成業務
・遺言執行業務
・離婚協議書作成業務
・任意成年後見契約に関する業務
・公的補助金・助成金の受給申請業務
・財務書類作成業務(会計記帳代行業務)
・議事録等作成業務
業際問題とは?
「業際」とは、各士業の職域(業として行って良い範囲)のさかい目のことです。
行政書士の業務は書類の作成や相談であるため、どの士業とも関わり合いを持つことになります。そのさかい目は判断が難しいものも多く、意見が分かれている場合もあります。
「業際問題」とは、他士業者が、本来他の士業の業務である業務を無資格で行うという問題のことです。
行政書士が作成できない書類
他の法律でその業務を行うことが制限されているものは、行政書士が行うことはできません。
例)
・訴訟事件や非訟事件に関する書類等【弁護士】
・特許出願書、意匠登録出願書【弁理士】
・所得税、法人税等の申告書等【税理士】
・不動産登記申請書、会社設立登記申請書等【司法書士】
・労働及び社会保険に関する法令に基づいて行政機関等に提出する書類【社会保険労務士】
具体例:弁護士法72条
弁護士法72条には、以下のように規定されています。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
この弁護士法72条の規定に違反した場合、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されます。(弁護士法77条)
例えば、遺産分割協議書は行政書士が作成できる書類です。
しかし、遺産分割協議において争い(紛争)が起きている場合、行政書士が業務を行うことはできません。
最後に
民事法務業務(市民法務)は、依頼者との距離も近く、地域に縛られずに業務を行うことができます。この業務を通じて、行政書士は依頼者の信頼を築き、長期的な関係を維持することができます。例えば、家族の法律問題や個人の財産管理に関する相談など、依頼者の生活に密着したサポートを提供することができます。そのため、行政書士は「街の法律家」として、地域社会に貢献する重要な役割を果たしています。
ただし、民事法務業務には紛争性を帯びている場合もあるため、業際に特に注意して業務を行わなければいけません。紛争性のある案件では、依頼者の利益を守るために、弁護士や司法書士と連携し、適切な対応を行うことが求められます。また、業務の際には法律の範囲をしっかりと把握し、他の士業との境界を遵守することが重要です。これにより、依頼者に対して質の高いサービスを提供し、法的なトラブルを未然に防ぐことができます。
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