APECビジネストラベルカード (ABTC) の申請とそのメリット~ビジネス出張をスムーズにする!~

ABTC申請とは?

ABTCとは、APEC Business Travel Cardのことで、APEC域内※1を頻繁に渡航するビジネス関係者の移動を円滑にすることを目的として、ABTC制度参加国・地域の政府が自国・地域のビジネス関係者に対して交付するカードのことです。

※1 APEC域内(日本以外)とは?

オーストラリア ブルネイ カナダ※2 チリ 中国
香港(ホンコン・チャイナ) インドネシア 韓国 マレーシア メキシコ
ニュージーランド パプアニューギニア ペルー フィリピン ロシア※2
シンガポール 台湾(チャイニーズ・タイペイ) タイ 米国※2 ベトナム

※2 米国・カナダ・ロシアについて
米国とカナダ: APECビジネストラベルカード(ABTC)制度の暫定参加メンバーとして、入国審査でABTC専用レーンの使用は可能ですが、ABTCによる入国は認められず、査証(ビザ)が必要です。

ロシア: 2024年3月時点で、ロシアはバーチャルABTCによる入国を認めていません。2024年4月1日以降、日本でプラスチックABTCの交付が終了するため、バーチャルABTC所持者はロシアへの渡航時に査証が必要です。2023年4月10日以降、ロシアはバーチャルABTC所持者向けに査証発給を行っています。詳細はAPEC事務局のウェブサイトや駐日ロシア大使館に問い合わせてください。

この記事では、ABTCカードの申請手続きや、申請代行を依頼するメリットなどを解説します。

うつのみや
この記事は、こんな方におすすめ!
・ABTCについて知りたい方
・ABTCを申請しようと思っている方
APEC・ビジネス・トラベル・カードはこんなに便利!▷出典:外務省APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)資料「APEC・ビジネス・トラベル・カードはこんなに便利!」より

APECビジネストラベルカード (ABTC) とは?

ABTC(APEC Business Travel Card)は、APEC加盟国のビジネス関係者が域内での移動を円滑に行えるようにするためのカードです。このカードを所持していることで、ビジネスのためにAPEC参加国を訪れる際、ビザを取得する必要がなくなり、さらに入国審査も優遇されます。

日本では、外務省がABTCの申請を受け付けており、ABTCを利用できる国は日本、韓国、中国、インドネシア、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドなど、21のAPEC加盟国に広がっています。ただし、アメリカやカナダは暫定参加国のため、ABTCカードだけでは入国できず、電子認証システム(米国の場合はESTA、カナダの場合はeTA)を利用する必要があります。

また、ABTCの有効期間は原則、交付から5年間です。ただし、ABTCを交付する時点で旅券の残存有効期間が5年未満の場合は、交付されるABTCの有効期限は旅券の有効期限と同一となります。2024年4月1日からは、これまでのプラスチックABTCに代わり、バーチャルABTCの交付が開始されました。

バーチャルABTC(VABTC)とは

バーチャルABTC▷出典:外務省ウェブページ「APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)ABTCとは」より

2020年11月、APEC参加国・地域でプラスチックABTCに代わり、スマートデバイスで表示されるバーチャルABTC(VABTC)の利用が決定されました。2024年4月現在、13のAPEC参加国・地域(日本を含む)がバーチャルABTCを導入しています。日本では2024年4月1日から利用を開始しており、バーチャルABTCを導入していない国・地域にも利用可能です。

ABTCを取得する条件

ABTCを取得するためには、以下の条件を満たす必要があります:

  1. 有効な日本国パスポートの所持:ABTCの申請には有効な日本国パスポートが必要です。
  2. 正確な申請書の提出:申請書に虚偽の記載がないことが求められます。
  3. 犯罪歴がないこと:過去に犯罪歴がある場合、申請は承認されません。
  4. ビジネス目的の渡航:申請者がAPEC加盟国に対してビジネス目的の渡航を計画していることが条件です。具体的には、企業の経営者やその従業員であること、またはAPECビジネス諮問委員会(ABAC)に関連する業務を行っていることが求められます。
    具体的には、以下のいずれかの要件に該当する必要があります。
    1)APECビジネス諮問委員会(ABAC)の日本委員、日本代理委員、またはその補佐業務を行う方
    2)貿易や投資の実績がある企業の経営者や従業員で、貿易などの事業を目的としてAPEC参加国への渡航が必要と認められる方
    3)ABAC日本支援協議会の構成団体の職員やその会員企業の経営者・従業員で、貿易などの事業を目的としてAPEC参加国への渡航が必要と認められる方
    4)貿易関連の機関の経営者や従業員で、災害復興に貢献する事業を目的にAPEC参加国への渡航が必要と認められる方
    5)税関長が承認または認定した貿易関連事業者で、APEC参加国での貿易事業を目的に渡航が必要と認められる方
  5. 特定の職業ではないこと:職業運動選手、報道特派員、芸能人、音楽家、芸術家などの職業に従事している人は、ABTCを申請できません。

ABTCを取得するメリット

ABTCを持つことで、以下のようなメリットがあります:

  1. ビザなしでの渡航:短期間の商用目的であれば、ビザなしで何度でもAPEC加盟国に渡航が可能です。
  2. 入国審査の優遇:ABTCを持つことで、APEC加盟国の空港において、専用レーンを利用できるため、入国手続きが迅速になります。
  3. ビジネスにおける時間と労力の節約:ビザの取得手続きが不要となるため、出張やビジネスにかかる時間と労力を大幅に削減できます。

ABTC申請の代理手続きのメリット

ABTCの申請は、自分で行うこともできますが、手続きを行政書士に依頼することも可能です。代理申請を利用することで、以下のような利点があります:

  1. 手続きの効率化:書類の準備や申請手続きを代行してもらうことで、時間と労力を節約できます。
  2. 確実な手続き:書類に不備があると、審査が遅れる可能性がありますが、代理申請を利用することで、書類の確認や不備のチェックをプロに任せることができ、スムーズに進められます。
  3. 複雑な書類の整理:ABTCの申請には、企業の登記事項証明書や貿易実績を示す文書などが必要です。これらの書類を正確に揃えるのは手間がかかりますが、代理申請ではすべてを整えてもらえます。
  4. 申請ノウハウの活用:代理申請業者は、過去の経験から審査を有利に進めるための方法を熟知しており、スムーズにカードを取得するためのアドバイスを受けることができます。

ABTCの申請の流れ

ABTC申請の流れ

▷出典:外務省ウェブページ「APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)申請概要」より

  1. 必要書類やデータを準備します。
  2. オンラインで申請します。▷申請はこちらから:APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)オンライン申請受付フォーム
  3. 手数料納付書に収入印紙を貼って、郵送します。
  4. 日本の外務省で申請要件を審査後、ABTC参加国・地域に事前審査を依頼します。
  5. 交付通知メールが届きます。
  6. アプリにログインします。▷アプリはこちらからダウンロードできます。
  7. アプリで審査状況の確認ができます。
    新規交付申請の場合、手数料納付書受領日から約2~3か月が目安となっています。
  8. 渡航

ABTCの必要書類

ABTC必要書類一覧

▷出典:外務省ウェブページ「APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)申請概要」より

ABTCカードの申請に必要な書類は、申請内容や申請者の所属によって異なります。

新規交付申請の場合

  1. 一般申請者:
    顔写真(JPEG)、パスポートの写し、在職証明書、登記事項証明書、貿易・投資実績書類、企業パンフレット等、収入印紙
  2. ABAC関係者:
    顔写真(JPEG)、パスポートの写し、収入印紙
  3. 経団連などの関係者:
    顔写真(JPEG)、パスポートの写し、在職証明書、企業パンフレット等、収入印紙
  4. 災害復興目的の貿易関係者:
    顔写真(JPEG)、パスポートの写し、在職証明書、登記事項証明書、企業パンフレット等、収入印紙
    ※日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会又は関西経済連合会に所属している場合は、登記事項証明書も提出免除になります。
  5. 同一企業の申請者が1年以内にいた場合またはAEO事業者に承認又は認定されている場合:
    顔写真(JPEG)、パスポートの写し、在職証明書、登記事項証明書、収入印紙

※収入印紙代は、いずれも13,000円です。
※登記事項証明書は、四季報などからその存在が確認できる場合は、提出不要です。

申請書類のポイントまとめ

ABTC申請に必要な書類について、以下のポイントを押さえてください。

  1. 顔写真(JPG/10MBまで(800×600ピクセル)/縦横比4:3): 申請には6か月以内に撮影された顔写真が必要です。カラー・白黒どちらでも可で、背景は白が望ましいです。
  2. 旅券の写し(PDF・JPG/10MBまで): パスポートの顔写真ページと身分事項ページの鮮明な写しを提出します。旅券の有効期限が短い場合、申請が不承認になる可能性があるため注意が必要です。
  3. 在職証明書(PDF/10MBまで): 3か月以内に発行された在職証明書が必要です。申請者が企業の代表者であっても提出が必要です。
  4. 登記事項証明書(PDF/10MBまで): 3か月以内に発行されたものを提出します。
  5. 貿易・投資実績を示す文書(PDF/10MBまで): 直近1年間または直近の決算期における貿易・投資の実績を示す資料(決算書や損益計算書の写し等)を提出します。
  6. 事業内容に関する資料(PDF/10MBまで): 事業報告書や会社案内などを提出します。関連資料がウェブサイトに掲載されている場合、URLを申請フォームに記載することで提出が免除されます。
  7. 収入印紙: 新規交付申請手数料13,000円分の収入印紙を貼付した手数料納付書(申請フォームの完了画面から入手可能)を、申請者の署名とともに外務省経済局アジア太平洋経済協力室ABTC班へ郵送します。
    【手数料納付書の郵送先】
    〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1
    外務省経済局アジア太平洋経済協力(APEC)室
    「APEC・ビジネス・トラベル・カード」ABTC班
  8. その他: 個人事業主の場合、追加の確認が必要なため、外務省経済局アジア太平洋経済協力室ABTC班(abtc@mofa.go.jp)にメールで確認しましょう!

日本語または英語以外の書類には対訳が必要ですが、公証翻訳は不要です。

新規交付手数料

13,000円
収入印紙による納付となるため、外務省経済局アジア太平洋経済協力(APEC)室ABTC班まで郵送します。

交付手数料一覧

▷出典:外務省ウェブページ「APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)申請概要」より

注意点

ABTCを取得・利用する際の注意点は次の通りです。

  1. パスポートとの関係:ABTCはパスポートの代わりにはならず、パスポートが失効した場合は、新たにABTCの申請が必要です。
  2. パスポート有効期間の条件:一部のABTC制度参加国・地域では、事前審査開始時点でパスポートの有効期間に「6か月以上」や「12か月以上」などの条件を設けています。これにより、申請者はパスポートの有効期間に十分な余裕を持つことが求められます。

さいごに

ABTCは、頻繁に海外出張を行うビジネスパーソンにとって非常に便利なものです。特にABTC制度参加国への出張が多い方や今後予定がある方には、取得を強くおすすめします。

しかし、申請手続きには多くの労力がかかり、書類の不備によっては時間がかかるリスクも伴います。業務が忙しい中で確実にカードを取得するためには、ビザ申請を専門とする行政書士に相談することをおすすめします。

行政書士トラスト事務所のABTC申請代行サービス

行政書士トラスト事務所では、APECビジネストラベルカード(ABTC)の申請代行サービスを提供しています。申請手続きに関する煩雑な書類準備や、申請後の不備チェックなどを、行政書士がサポートします。

サービス料金(新規交付申請)

・一般の方:30,000円
・それ以外の方:25,000円

料金について

  • 掲載している料金は一例です。ご依頼内容によって料金が変わる場合がございますので、ご了承ください。
  • 掲載している料金には消費税が含まれています。
  • 法定費用、各種申請手数料、証明書取得代行費用、出張費用などの実費は、別途ご請求いたします。

ビジネスに集中したい方や、手続きにかかる時間を節約したい方は、ぜひご利用ください。詳しくは、行政書士トラスト事務所までお問い合わせください。

ABTCカード申請代行サポート
ABTCのFAQ
バーチャルABTCログイン方法

Contact

当事務所では、オンライン面談や出張相談にも対応しております。また、営業日以外でも可能な限りメールやLINEでの対応を行っております。お気軽にお好みの方法でお問い合わせください。以下のボタンからお好きなツールで直接メッセージを送ることができます。

Contact
コンタクトフォーム
メール
Email
LINE
LINE
小红书
小红书
WeChat
WeChat
WhatsApp
WhatsApp
Facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X(旧Twitter)
X-Twitter