近年、仕事と介護を両立させる必要がある働き手が増加しています。特に中小企業においては、従業員が介護と仕事を両立するための支援体制が整っておらず、多くの問題が生じています。政府はこの状況を踏まえ、来年度にも中小企業向けの支援拠点の整備に乗り出すことを発表しました。本記事では、政府の取り組みや私自身の介護体験を通じて、介護の大変さとその対策について詳しく解説します。
・政府の新しい支援制度に興味がある方
・介護と仕事の両立に悩んでいる方
・認知症対策を検討している方
中小企業向け支援拠点の整備
政府は、仕事と介護を両立させるための取り組みを中小企業が単独で進めるのは難しいと認識しています。そのため、地方銀行など地域に根ざした拠点運営者が積極的に事業者に働きかける「プッシュ型」支援モデルを導入する予定です。これにより、経営者の意識づけや従業員への情報提供を行い、介護と仕事の両立を支援します。
ビジネスケアラーの増加と経済的影響
高齢化が進む中で、仕事と介護に追われる「ビジネスケアラー」の数は増加の一途をたどっています。経済産業省によると、平成24年には211万人だったビジネスケアラーが、令和12年には318万人に達すると予測されています。同年には介護離職者が11万人に増え、仕事と介護の両立困難による生産性低下などを合わせた経済損失は約9兆2000億円に上る見込みです。
▷出典:経済産業省ウェブサイト 介護政策ページより
介護支援の現状と課題
子育て支援と比較すると、介護への理解度は低く、社会全体の対応が不十分であると指摘されています。特に人手不足に悩む中小企業では、多様な働き方が導入できず、介護を要する社員の状況を把握しきれていないことが多いです。支援が行き届かない現状が続いており、これが介護離職や生産性低下の一因となっています。
経済産業省でも介護両立支援を進めるための課題として、以下のものをあげています。
②企業における従業員情報の把握に格差があること
③社会全体として介護に関するリテラシーが低く、当事者になるまで介護の実態に触れる機会が限られ、職場等で介護の話題が出しづらいこと
介護両立支援ハブの整備
政府は、地域の中小企業を対象とする「介護両立支援ハブ」を整備する方針です。このハブは、経営者や人事担当者らに働きかけるほか、介護関連サービスの情報提供やセミナーの実施、地域共通の相談窓口の設置を進めます。経済産業省は2024年8月末から12月末にかけて実証実験を実施し、運営事業者を募集します。事業の効果や必要な財政支援の程度を見極めた上で、来年度にも支援拠点を整備する予定です。
介護の現場の実情
中小企業が抱える課題は多岐にわたります。まず、介護を必要とする社員が増加する中、企業側がその状況を把握しきれないことが多いです。介護と仕事を両立させるための制度やサポートが整っていないため、社員は孤立しがちです。また、介護のために仕事を休まざるを得ない場合、業務が滞ることが避けられません。このような状況が続くと、社員の負担が増大し、最終的には介護離職に繋がることが懸念されます。
私の介護体験と学び
私自身も認知症の家族を4年間在宅介護した経験があります。そのうち3年半は、介護サービスを利用せず、24時間ひとりで介護していました。当時は在宅で仕事をしていたため、24時間の介護が可能でしたが、本当に疲弊していました。自分の時間は一切なく、何度も逃げたいと思いましたが、家族に対する愛情やこれまでお世話になった感謝の気持ちがあり、ボロボロになりながら介護を続けました。
この体験から学んだことは、もっと早く介護サービスを頼るべきだったということです。一人で全てを抱え込まず、周りの人や介護サービスに頼ることが重要だと痛感しました。また、認知症になる前の対策をしっかりと行い、早めに支援を受けることが大切です。
介護の現場では、多くの介護者が自分自身の健康や精神状態を犠牲にしてまで介護に専念しています。これが長期的に続くと、介護者自身が健康を害し、最終的には介護を続けることが困難になります。このような状況を避けるためにも、介護サービスの利用や地域の支援を積極的に活用することが重要です。
認知症対策と介護の重要性
介護の大変さを実感した今、介護サービスの必要性を早期に認識し、適切な支援を受けることの重要性を強く感じています。私の経験からも、まずは周りの人に相談し、適切なサポートを受けることをお勧めします。当事務所では、認知症対策や相続対策の相談も受け付けており、介護に関しては地域包括支援センターや社会福祉協議会と連携し、サポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
介護者へのサポートの充実
政府が提唱する「介護両立支援ハブ」やその他の支援策が効果を発揮するためには、地域社会全体での取り組みが欠かせません。地域の中小企業や個人事業主が積極的に介護問題に取り組むことで、介護者が孤立せずに支援を受けられる環境が整います。また、介護に関するセミナーやワークショップの開催は、介護者が必要な情報を得るための重要な手段です。
さらに、介護者自身のメンタルヘルスケアも重要です。介護は肉体的だけでなく精神的にも大きな負担を伴います。そのため、介護者が自分の時間を持ち、リフレッシュできる環境を作ることが必要です。
さいごに
仕事と介護を両立させるためには、政府や企業の支援だけでなく、個々の意識改革も必要です。自分自身の経験を踏まえ、介護の大変さを少しでも軽減するための対策をしっかりと行い、周りの人やサービスに頼ることの重要性を伝えたいと思います。これからも、多くの方が安心して仕事と介護を両立できる社会を目指して、情報提供や支援活動を続けていきます。
以上の取り組みを通じて、介護者が孤立せず、適切な支援を受けられる環境を整えることが求められます。介護問題は個人だけでなく社会全体で解決すべき課題であり、全ての人が安心して生活できる社会を目指して、共に取り組んでいきましょう。
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