日本で事業を立ち上げたい外国人にとって、経営管理ビザの取得は重要なステップです。多くの方が耳にする「資本金500万円」の要件について、具体的な内容と注意点を詳しく解説します。
・経営管理ビザの取得を目指している方
・経営管理ビザの要件について知りたい方
・資本金500万円の要件について知りたい方
資本金500万円は本当に必要?
過去には外国人が日本でビジネスを始める際に、500万円の資本金が必須とされていました。しかし、2015年以降、この規定は緩和され、資本金が500万円未満でも経営管理ビザを取得できる可能性があります。ただし、その場合は以下の条件を満たす必要があります。
- 日本人または永住者を含む常勤の従業員を2名以上雇用すること
この条件は、ビジネスの安定性と日本社会への貢献を示すためのものです。雇用を創出することで、地域経済に貢献し、社会的な信用を得ることが期待されます。 - 労働保険に加入していること
労働保険の加入は、従業員の福利厚生を確保するために必要です。これは、従業員の安全と健康を守るための基本的な要件であり、企業の社会的責任を果たすためのものです。
これらの条件は、ビジネスを始めたばかりの段階で達成するのは難しいため、現実的には500万円の資本金を用意する方がスムーズです。
どうやって資本金の出所を証明する?
経営管理ビザを申請する際、用意した資本金500万円の出所を証明する必要があります。これは、「見せ金」やマネーロンダリングを防ぐための措置です。
・誰かから借りたのなら、その金銭消費貸借契約書があるのか?
・誰かからもらったのなら、どうしてもらったのか?
これらを文書や資料で証明する必要があるのです。例えば、以下のような資料が必要となります。
- 所得証明書
所得証明書は、申請者が合法的に得た収入を証明するための重要な書類です。これは、申請者の財政的な健全性と信用を示すために必要です。 - 海外送金通知
海外送金通知は、資本金がどのようにして日本に送金されたかを示すものです。これは、資金の流れを透明にし、不正な資金移動を防ぐためのものです。 - 携行品・別送品申告書(税関)
日本に持ち込む際に税関で申告した証明書です。これにより、資金が合法的に日本に持ち込まれたことが確認できます。 - 金銭消費貸借契約書
借入金を資本金とする場合、この契約書が必要です。契約内容と返済計画が明確であることが求められます。 - 本国の通帳
本国の銀行通帳は、申請者の資金が元々どこから来たのかを証明するためのものです。
さらに、これらに加えて、そのお金の流れがとても重要になります。例えば、自分で500万円を貯めたとなると、少しずつ貯めていく過程が通帳からわかることが必要です。また、誰かから借りた場合には、その誰かがどうやって500万円を貯めたのかという証明も必要になります。
そのため、会社設立の前からどうやって資本金の出所を証明するかをしっかりと考えておく必要があります。
資本金の送金と持ち込み
資本金を海外から日本へ送金する場合、事前に確認すべき点があります。100万円以上の現金を持ち込む際は税関で申告が必要です。もし、100万円以上を現金で持ち込み申告していなかった場合、違法となるため、ビザの審査に影響してしまいます。
また、人民元の持ち出し制限や為替レートによる資本金の変動にも注意が必要です。特に為替レートの変動により、送金額が予定よりも少なくなるリスクがあります。これに対応するために、余裕を持った資金計画が求められます。
借り入れによる資本金の準備
資本金500万円を借り入れることも可能ですが、その場合は以下の点に留意する必要があります。
- 融資契約書の提示
融資契約書は、借入金が合法的かつ正式に契約されたものであることを示します。これは、申請者の財務的な信頼性を証明するために必要です。 - 返済計画の明示
借入金の返済計画が明確であることが求められます。返済のスケジュールや方法を詳細に示すことで、財務計画の現実性を証明します。 - 借り入れ先の資金の出所証明
借入金が正当な資金であることを証明するために、借り入れ先の資金の出所も明示する必要があります。
経営管理ビザ申請時の注意点
経営管理ビザを取得するためには、資金以外にも注意が必要です。特に、企業内で複数の経営管理ビザを申請する場合は、各申請者の役割や仕事量が明確であることが求められます。また、友人や知人の会社に招聘される場合も、実際の業務内容を証明することが必要です。
留学生が資本金を形成する際は、労働時間に制限があるため、オーバーワークによる違法状態に注意が必要です。これは、ビザの条件に違反することになり、ビザの取消しや更新の際に問題となる可能性があります。
そして、資本金500万円をどうやって準備したのか、しっかりと証拠を残しましょう。自分で貯めたのなら、少しずつ銀行口座に貯金していく記録を残してください。ときどき、銀行口座に入れずに「家の貯金箱で貯めた」という外国人の方がいますが、それでは何の証拠にもなりません。しっかりと銀行に貯金しましょう。また、親や家族から借りた場合も、送金記録を残してください。そして、現金で持ち込んだ場合は、税関に申告しましょう!
さいごに
経営管理ビザの取得には、資本金500万円が必須ではないものの、他の条件を満たすのは現実的に難しいため、500万円を用意するのがスムーズです。また、資本金の出所証明や送金方法についても入念な準備が必要です。
ビザ申請に関しては、専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、手続きがスムーズに進み、申請が成功する確率が高まります。経営管理ビザ申請に関する詳細なサポートについては、ぜひ当事務所にご相談ください。
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