行政書士事務所を開業するにあたって、創業融資や様々な補助金について調べています。
今回は、小規模事業者持続化補助金についてまとめました。
2024年8月時点で、第16回の公募が行われました。次回、第17回があるのかどうか、まだ発表がありませんが、もし公募があれば、私も申請したいと思っています。(※今回は、第15回の公募の資料を元に記事を書きました。)
▷参照:小規模事業者持続化補助金ウェブサイト
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金(=持続化補助金)とは・・・
小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。 (小規模事業者持続化補助金ガイドブックより)
小規模事業者とは?~補助金の対象者とは?~
1)下記に該当する法人、個人事業、特定非営利活動法人
・宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20人以下
・製造業その他:常時使用する従業員の数が20人以下
※常時使用する従業員の中に、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。
2)以下の全ての要件を満たす人
②直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
③商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること(商工会議所会員、非会員を問わず、応募可能)
④持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を、原則本補助金の申請までに受領されたものであること(※「受領された」とは事務局から指摘のあった不備が解消した状態であること)
⑤「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと
どんなタイプの申請がある?
5つの申請類型があります。
1)通常枠
小規模事業者自らが作成した経営計画に基づき、商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓等の取組を支援。
2)賃金引上げ枠
販路開拓の取り組みに加え、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+50円以上である小規模事業者(※赤字事業者は、補助率 3/4に引上げ。)
3)卒業枠
販路開拓の取り組みに加え、雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて事業規模を拡大する小規模事業者。
4)後継者支援枠
販路開拓の取り組みに加え、アトツギ甲子園においてファイナリスト又は準ファイナリストに選ばれた小規模事業者。
5)創業枠
産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業」による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が公募締切時から起算して過去3か年の間である、販路開拓に取り組む小規模事業者。
補助率・補助上限額
1)通常枠
【補助率】2/3
【補助上限】50万円
2)賃金引上げ枠
【補助率】2/3(※赤字事業者:3/4)
【補助上限】200万円
3)卒業枠
【補助率】2/3
【補助上限】200万円
4)後継者支援枠
【補助率】2/3
【補助上限】200万円
5)創業枠
【補助率】2/3
【補助上限】200万円
※それぞれインボイス特例あり(インボイス特例の要件を満たす場合、上記補助上限額に50万円を上乗せ)
補助金・助成金・給付金の違い
・補助金や助成金は、事業期間中に支払った経費のうち、補助対象となっている特定の経費について、事業終了後の確定検査を経て補助される。しかし、給付金や支援金等は使用使途は特定されておらず、確定検査もない。
・助成金・給付金は、申請要件を満たせば助成・給付されるものが多い。しかし、補助金は要件を満たした者が全て補助されるわけではない。申請内容を審査し、評価の高い順に採択者が決定する。
補助対象となる経費
基本的に、下記の経費が対象となる。内容によっては、対象とならない場合があるため、事前に公募要領を必ず確認すること。
①機械装置等費
補助事業の遂行に必要な製造装置の購入など
②広報費
新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置など
③ウェブサイト関連費
ウェブサイトやECサイト等の開発、構築、更新、改修、運用に係る経費
(補助金交付申請額及び交付すべき補助金の額の確定時に認められる補助金総額の1/4(最大50万円)を上限。ウェブサイト関連費のみによる申請はできない。)
④展示会等出展費
展示会・商談会の出展料など
⑤旅費
販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費
⑥新商品開発費
新商品の試作品開発等に伴う経費
⑦資料購入費
補助事業に関連する資料・図書の購入費用など
⑧借料
機器・設備等のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)
⑨設備処分費
新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分など
(補助対象経費総額及び交付すべき補助金の額の確定時に認められる補助対象経費の総額の1/2を上限。設備処分費のみによる申請はできない。)
⑩委託・外注費
店舗改装など自社では実施困難な業務を第三者に依頼(契約必須)
注意すること
・パソコンや車、文房具など汎用性が高く目的外使用になりえるものは補助対象外。
・原則、経費の支払いは銀行振込。10万円を超える支払い(一括、分割問わず)については、現金支払いの場合、補助対象外。また、相殺や小切手、商品券などによる支払いも補助対象外。
・クレジットカードでの支払いの場合、口座から引き落とされた日が、補助事業実施期限を過ぎている支払いについては、補助対象外。
・ 100万円(税込)を超える支払いは、2者以上の見積もりが必要。
・中古品の購入(50万円(税抜き)未満のものであること)については、金額に関わらず、すべて、2者以上からの見積もりが必須。
・オークションによる購入は補助対象外。
特別枠の申請要件
【賃金引上げ枠】
補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が申請時の地域別最低賃金より+50円以上であること。なお、すでに事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+50円以上を達成している場合は、現在支給している(申請時点において直近1か月で支給している賃金のこと)、事業場内最低賃金より+50円以上とする必要がある。
※申請時点及び補助事業終了時点において、支給している事業場内最低賃金が、地域別最低賃金以上である必要がある。
◇赤字事業者とは?
「賃金引上げ枠」に取り組む事業者のうち、直近1期または直近1年間の課税所得金額が0以下である事業者。
◇課税所得金額とは?
<法人の場合>
直近1期分の法人税申告書の別表一・別表四の「所得金額又は欠損金額」欄の金額。
<個人事業主の場合>
直近1年間の「所得税および復興特別所得税」の「確定申告書」第一表の「課税される所得金額」欄の金額
【卒業枠】
補助事業の終了時点において、常時使用する従業員の数を増やし、小規模事業者の従業員数を超えて規模を拡大すること。※「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者は、今後本補助金の対象とならない。
【後継者支援枠】
申請時において、「アトツギ甲子園」のファイナリスト又は準ファイナリストになった事業者であること。
※ 既に「後継者支援枠」で採択され事業を実施した事業者は、後継者支援枠の対象外。ただし異なる年度において、上記要件を満たす場合は、補助対象となり得る。
【創業枠】
産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が公募締切時から起算して過去3か年の間であること。
※ 特定創業支援等事業による支援を受けた者が、過去すでに「創業枠」で採択され事業を実施していた場合、申請者が個人事業主、法人に関わらず、再度「創業枠」で申請することはできない。また、代表が複数いる法人が、代表者を変え、同一の法人で再度「創業枠」を申請することもできない。
申請から事業完了までの流れ
①申請の準備
公募要領や参考資料を熟読し、必要な書類を作成準備する。
・電子申請システムへ「経営計画書」および「補助事業計画書」の入力をして申請内容を印刷し、希望する枠や加点等に関する書類等を添付の上、地域の商工会議所に「事業支援計画書」(様式4)の発行依頼を行い、交付を受ける。(※「事業支援計画書(様式4)」の交付の受付締切は、原則として公募締切の1週間前となる。)
【個人の場合の主な応募書類】
1)以下はシステムに直接入力する。
・小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)
・経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)
・補助事業計画書②(様式3)
・補助金交付申請書(様式5)
・宣誓・同意書(様式6)
2)事業支援計画書(様式4)
※近くの商工会議所に電話予約をし、発行依頼を行う。上記1)の中の小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)、経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)、補助事業計画書②(様式3)及び、様式4発行依頼書を作成しておく。
3)直近の確定申告書【第一表及び第二表及び収支内訳書(1・2面)または、第一表及び第二表及び所得税青色申告決算書(1~4面)】(税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの)[写し]
②申請手続き(事業者が実施)
原則、電子申請システムで受付。
・電子申請システムを利用するにはGビズIDプライムもしくはGビズIDメンバーのアカウントの取得が必要。アカウントの取得には郵送の場合、数週間程度を要するため、早めに利用登録をしておく。ただし、オンライン(スマホのアプリで認証)の場合はすぐにアカウント取得可能。
③申請内容の審査
提出された申請内容について、外部有識者等により審査が行われる。必要な提出書類がすべて提出されていない場合は不採択となる。
・自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
・経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
・経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
・補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
・補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
・補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
・補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。
・補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
・事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。
④採択・交付決定
採択案件を補助金事務局ホームページにて公表。採択発表までは、2~3か月程度。
採択決定者には、応募時に提出した「補助金交付申請書」を補助金事務局で確認し、不備等がなければ、「交付決定通知書」が通知される。
⑤補助事業の実施(事業者が実施)
「交付決定通知書」を受領後、申請時に提出した補助事業計画に沿って事業を実施する。事業は補助事業実施期限までに完了しなければならない。※交付決定日(交付決定通知書の日付)から補助事業実施期限までに発注、支払いを完了したもののみが補助対象となる。
⑥実績報告書の提出(事業者が実施)
補助事業終了後、その日から起算して30日を経過した日又は最終提出期限のいずれか早い日(必着)までに補助事業の実施内容と経費内容(支出内容)を取りまとめた実績報告書を郵送する。最終締切までに提出がないと、補助金の支払がされない場合があるため注意。
⑦確定検査・補助金額の確定
実績報告書のほか、支出ごとの証拠書類(見積書、契約書、領収書など)について、事務局が審査・確認を行い、補助金額を確定する。
⑧補助金の請求(事業者が実施)
補助金額が確定した後、「補助金確定通知書」が送付される。金額を確認して、精算払請求(交付規程様式9号)を補助金事務局に行う。
⑨補助金の入金
補助事業者に交付(入金)される。※請求後、数週間程度かかる。振込完了の通知は行われないため、通帳等で入金確認を行う。
⑩事業効果報告(事業者が実施)
補助事業の完了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」(交付規程様式第14号)を文書等で提出が必要となる。
さいごに
今回は、複雑な小規模事業者持続化補助金についてまとめました。申請はとても複雑ですが、申請を通じて、事業計画をたてることは、経営をするうえで非常にプラスになると思います。自分自身の事業を見つめなおすきっかけになりますね。なお、最新の情報は、Webサイトにてご確認ください。