高度人材ポイントを計算してみよう!行政書士が詳しく解説

高度人材ポイント計算方法

高度人材と呼ばれる優秀な外国人を日本に呼び込んで、日本国内の活性化を目指すことを目的に創設された在留資格が「高度専門職」です。平成24年(2012年)5月から導入されました。活動内容を「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類し、学歴・職歴・年収・年齢などの項目にそれぞれポイントを設け、そのポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合、その高度外国人材に対して、出入国在留管理上の優遇措置が与えられます。この記事では、ポイントの計算方法について詳しく解説します。

うつのみや
この記事は、こんな方におすすめ!
・高度専門職ビザについて知りたい方
・高度専門職ビザへの変更を考えている方
・高度人材ポイントを使って永住申請を検討している方

高度人材ポイントとは?

高度人材ポイント制度は、高度な専門知識や技術を持つ外国人を積極的に受け入れるために導入された制度です。学歴、職歴、年収などの要素にポイントを設定し、その合計が一定の基準(70点以上)を満たした場合に、在留資格「高度専門職」を取得することができます。

さらに、70点以上をクリアすると3年、80点以上をクリアすると1年で永住申請が可能となるため、多くの外国人にとって非常に魅力的な制度です。しかし、このポイントの計算は複雑です。年収や実務経験の計算で悩まれる方が多くいらっしゃいます。

高度専門職1号について

その活動の内容によって、さらに3つに区分されます。

高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」・・・在留資格「研究」「教授」の高度人材。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導又は教育をする活動
高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」・・・在留資格「法律・会計業務」、「医療」、「技術・人文知識」、「企業内転勤」の高度人材。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
※在留資格「技術・人文知識・国際業務」のうち、「国際業務」については該当しません。
高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」・・・在留資格「経営・管理」、「法律・会計業務」、「技術・人文知識」の高度人材。
本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動

そこで、この記事では「高度専門職1号(ロ)」のポイント計算方法をわかりやすく説明します。

高度人材ポイントの計算方法

1. 学歴によるポイント計算

最終学歴に応じて、以下のポイントが付与されます。

  • 博士:30点
  • 修士(MBA/MOT):25点
  • 修士(その他):20点
  • 大学卒業:10点

さらに、以下の条件に該当する場合、追加ポイントを得ることができます。

日本の大学・大学院を卒業した場合、スーパーグローバル大学に該当する場合があります。自分の出身大学が該当するかわからない方は、このページの最後にあるお問合せフォームからお問い合わせください。

注意点

・短期大学や高等専門学校を卒業した場合でも、「大学卒業」の10点を取得することができます。しかし、専門学校を卒業した場合(専門士)は対象となりませんので、注意してください。

・学士と修士で異なる分野を取得した場合は、5点の加算(複数の修士号または博士号を持つ)の対象にはなりません。この加算は、修士、または、博士をそれぞれ複数の分野で取得した場合のみです。

2. 職歴によるポイント計算

過去の職歴年数に応じて、以下のポイントが付与されます。この職歴は母国も日本もどちらも含めることができます。

  • 10年以上:20点
  • 7年以上~10年未満:15点
  • 5年以上~7年未満:10点
  • 3年以上~5年未満:5点

注意点

現在の業務と同様の内容で従事していた職歴のみが対象となります。

・現在の仕事と同じ内容であれば、母国での職歴も年数に入れることができます。ただし、そのことを証明する資料を提出する必要があります。

・職歴の点数を加算するには、次の3つが記載された資料が必要となります。:

  1. 在籍期間(働いていた期間)
  2. 業務内容(担当していた仕事)
  3. 会社が発行した資料であること

母国での職歴の証明が難しい場合は、入社日、退社日、業務内容を示す資料を集めます。例としては、在職証明書、オファーレター、雇用契約書、離職証明書、給与明細などがあります。

3. 年収によるポイント計算

年収額により、以下のポイントが付与されます。

年収額 29歳以下 30~34歳 35~39歳 40歳以上
1,000万円以上 40点
900万円~ 35点
800万円~ 30点
700万円~ 25点 0点
600万円~ 20点 0点
500万円~ 15点 0点
400万円~ 10点 0点
300万円~ 0点
300万円未満 申請不可

年収300万円未満の場合は、「高度専門職」として申請ができませんので、ご注意ください。

注意点

・年収の計算には、仕事の対価として支払われる報酬のみが含まれます。交通費や住宅費などの実費は含まれません。具体的には、基本給、勤勉手当、調整手当、課税対象の住宅手当、賞与(ボーナス)は含まれますが、通勤手当や扶養手当は含まれません。

・申請時点の年収には残業代を含めることができません。これは、将来の残業量が不明なためです。ただし、高度人材として永住申請をする際の過去1年や3年の年収には、実際に発生した残業代を含めることができます。

・高度人材ポイントを計算する際の年収は、申請時点を基準にして1年間で計算します。例えば、2024年8月に申請する場合、収入見込額は2024年9月から2025年8月までの期間で証明し、直近1年間の年収は2023年9月から2024年8月までの期間で証明します。そのため、課税証明書(1月から12月までの年収額を記載)では証明できないことがあります。

・年収を証明するために次の資料を提出します。:

  • 住民税の課税証明書
  • 会社が発行する「源泉徴収票」

これらの資料は1月から12月までの年間収入を基に作成されるため、昇給や賞与の変化を正確に反映できないことがあります。その場合、会社が発行する「給与明細」などを使用して証明することも可能です。

・外国の会社から転勤で日本の会社に来た場合や勤務する日本の会社と親子会社などの関係がある外国の会社から支払われる場合は、海外の会社から得ている報酬も「年収」に含めることができます。

4. 年齢によるポイント計算

申請時点の年齢に応じて、以下のポイントが付与されます。

  • 30歳未満:15点
  • 30~34歳:10点
  • 35~39歳:5点
  • 40歳以上:0点

注意点

・得点の境目となる年齢(30歳・35歳・40歳)では、誕生日を過ぎたかどうかで大きく点数が変わるため、注意してください。
2024年8月に申請する場合(誕生日前)
年収:20点(600万円~)
年齢:5点(35~39歳)

2024年9月に申請する場合(誕生日後)
年収:0点(600万円~)
年齢:0点(40歳以上)

たった1ヶ月の違いで、40歳を超えるかどうかで「25点」変わります。高度人材ポイントを使って永住申請を考えている方はご注意ください。

5. 研究実績によるポイント計算

研究者の方は、以下の条件によりポイント(それぞれ15点)を獲得できます。

  • 発明者として特許を受けた発明が1件以上ある:15点
  • 外国政府から補助金などの資金を受けて研究をしたことが3回以上ある:15点
  • 学術論文データベース(※1)に搭載されている学術雑誌に掲載された論文が3本以上ある:15点
  • その他、顕著な研究実績がある:15点

※1 学術論文データベースとは?
学術論文データベースは、世界の学術論文を集めたデータベースです。代表的なものには、トムソン・ロイター社やエルゼビア社があります。出入国在留管理庁では、エルゼビア社の「サイバース・スコーパス」を使用しています。

6. 資格によるポイント計算

業務に関連する資格を持っている場合、以下のポイントが付与されます。

  • 仕事に関連する日本の国家資格またはIT資格:5点
  • 仕事に関連する外国の資格:10点

注意点

・高度人材ポイントの対象となる日本の国家資格とは、「業務独占資格※2)」と「名称独占資格※3)」です。弁護士、公認会計士、税理士、医師などが該当します。なお、資格を持っているだけではなく、申請時点の仕事で実際に使っていることが求められます。

※2 業務独占資格とは?
行政書士、弁護士、公認会計士、司法書士、税理士、医師、看護師など。

※3 名称独占資格とは?
資格取得者以外の者にその資格の呼称の利用が日本の法令で禁止されている資格のことで、保育士、調理師、栄養士などがある。

・高度人材ポイントの対象となるIT資格とは、「IT告示」という資料に掲載されている情報処理技術に関する資格のことです。

・高度人材ポイントの対象となる外国の資格とは、米国公認会計士や外国弁護士のことです。
▷参照:外国の資格・表彰等一覧 PDF

7. 契約機関によるポイント計算

勤務している企業が特定の条件を満たしている場合、ポイントが付与されます。

  • イノベーション促進支援措置(※4)を受けている大企業:10点
  • イノベーション促進支援措置を受けている中小企業:20点
  • 国家戦略特別区域高度人材外国人受入促進事業の対象企業:10点
  • 試験研究費等比率が3%以上(売上の3%以上を研究開発費に投資している)の中小企業:5点

※4 イノベーション促進支援措置とは?
法務省が定める、日本の各省庁が取り組む先端的なプロジェクトのこと。
▷参照:イノベーション促進支援措置一覧 PDF

注意点

・中小企業の定義は業種によって異なります。以下の基準のいずれかに該当すれば、中小企業とみなされます(会社や個人事業主も対象)。

  • 製造業: 資本金3億円以下、従業員300人以下
  • 卸売業: 資本金1億円以下、従業員100人以下
  • 小売業: 資本金5,000万円以下、従業員50人以下
  • サービス業: 資本金5,000万円以下、従業員100人以下

8. 日本語能力によるポイント計算

日本の大学・大学院を卒業している場合や高い日本語能力がある場合に、ポイントが獲得できます。

  • 日本の大学・大学院卒業: 10点
  • 日本語専攻の外国大学卒業: 15点
  • 日本語能力試験N1合格: 15点
  • 日本語能力試験N2合格: 10点

日本の大学・大学院卒業で10点獲得している場合、N1合格者は追加で10点を獲得できますが、N2合格者は重複して加算されません。(例:大学卒業+N1合格で25点、大学卒業+N2合格で10点)

9. その他の「特別加算」によるポイント計算

以下の基準に該当する場合、ポイントを獲得できます。:

  • 日本政府が関与する成長分野の先端プロジェクト(※5)に従事: 10点
  • JICAが実施する研修を修了: 5点
  • 投資運用に関する業務(※6)に従事: 10点

※5 成長分野の先端プロジェクトとは?
IoTや再生医療などの成長分野に関する、日本政府が関与しているプロジェクトのことです。
▷参照:将来において成長発展が期待される分野の先端的な事業一覧 PDF

※6 投資運用に関する業務とは?
第二金融商品取引業(金融商品取引法第28条第2項)、投資助言・代理業(金融商品取引法第28条第3項)、投資運用業(金融商品取引法第28条第4項)

さいごに

自分の高度人材ポイントを正確に把握しておくことは、ビザ申請において非常に重要です。しかし、計算が難しい場合もあります。行政書士トラスト事務所では、無料で高度人材ポイントの計算を行っていますので、ぜひご利用ください。

以下のフォームから必要事項をご入力いただければ、詳細な計算をいたします。

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