ニュース:外国人だから入居拒否!?その実態とは?

近年、日本に住む外国人の数は増加の一途をたどっています。2023年12月末時点で、在留外国人の数は過去最多の341万人に達しました。それにもかかわらず、多くの外国人が住宅を借りる際に国籍を理由に入居を拒否されるという問題が後を絶ちません。国はこのような入居拒否を「不当な差別」として是正を求めていますが、現実には依然として多くの外国人が差別や不平等を感じています。この記事では、外国人の住宅入居における差別の実態とその解決に向けた取り組みについてまとめます。

入居拒否の実態

日本で生活する外国人が、住宅を借りる際に直面する入居拒否の問題は深刻です。SNS上では、外国籍というだけで入居を拒否された経験を共有する外国人が後を絶ちません。日本語が堪能で、日本人の保証人がいる場合でも、「外国籍の方のご入居は不可となります」という返答を受けることが多々あります。これは、国籍だけで人を判断し、その人の背景や状況を無視する差別的な行為です。

不動産業者の視点

不動産業者による外国人入居拒否の背後には、物件を所有する大家や管理会社の不安があります。彼らは、外国人入居者がゴミの出し方を守らない、騒音トラブルを引き起こすといった問題が発生することを恐れています。日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、外国人入居者に関するトラブルを経験した大家の割合は52.7%に達しています。このようなトラブルの懸念が、外国人入居拒否の一因となっています。

解決に向けた取り組み

日本のマナーを教える取り組み

一部の大家は、外国人入居者に対する不安を解消するための具体的な取り組みを行っています。例えば、入居時に日本の生活習慣やルールを丁寧に説明し、ゴミの出し方や部屋の使い方を指導することで、トラブルを未然に防ごうとしています。また、入居時に油の凝固剤や殺虫剤など、部屋をきれいに使うためのグッズを提供し、その使い方を教えることで、部屋が汚れるのを防ぐ努力をしています。

外国人に親切な不動産会社

外国人と外国人に理解のある不動産会社を結び付ける取り組みも進んでいます。都内で運営されている住宅情報サイトでは、外国人に理解があり、住まい探しの相談に応じてくれる不動産会社を検索できる機能を提供しています。このサイトには、約5700店舗以上の不動産会社が登録されており、そのうち約4400店舗が外国人に理解を示しています。これにより、外国人が住まいを見つけやすくなり、不動産会社側も新たなビジネスチャンスを得ることができます。

具体例と成功事例

外国人社員によるサポート

外国人に理解のある不動産会社の中には、外国人社員を積極的に採用し、入居のサポートを行っているところもあります。例えば、中国語や英語を使って契約時に入居のマナーを説明することで、入居後のトラブルを減らす努力がされています。英語版の契約書を用意し、ゴミの出し方や土足で室内に入らないといった生活の一般的なルールを説明することで、トラブルを未然に防ぐことができています。

空室対策としての外国人受け入れ

外国人入居者を積極的に受け入れることで、空室対策を行っている不動産会社もあります。特に、和室や3点ユニットバスなど、日本人には人気のない物件でも、外国人には抵抗なく受け入れられる場合が多いです。このような物件を外国人に貸し出すことで、空室期間を短縮し、賃貸経営を安定させることができます。

国土交通省の取り組み

国土交通省は、外国人の住まい探しを支援するために、英語や中国語、韓国語など14の言語に対応した「部屋さがしのガイドブック」を提供しています。このガイドブックには、部屋の探し方、契約手続き、入居後の注意点などが記載されており、外国人が日本で安心して住まいを探すための情報が網羅されています。また、やさしい日本語で書かれた「外国人のための賃貸住宅入居の手引き」も公開されており、外国語で対応できる不動産会社の情報も紹介されています。

さいごに

日本の住宅市場における外国人差別の問題は依然として深刻ですが、その解決に向けた取り組みも進んでいます。不動産業者や大家が外国人に対する不安を解消し、理解を深めることで、外国人が安心して住まいを探せる環境が整いつつあります。また、国や企業が提供するサポートを活用することで、外国人の住まい探しがよりスムーズに行われるようになるでしょう。

私たち一人ひとりが、国籍やルーツに関係なく誰もが住まいを持ち、働きやすい社会を作るために何をすべきかを考えることが重要です。日本の住宅市場がより多様性を受け入れることで、多くの外国人が日本で安心して生活できるようになることを願っています。


▷参考:NHKニュース「“日本人ではないから…”国籍だけで入居不可に!? その実態は」