先日、あるテレビ番組を見て、驚いたことがありました。「フリーランス介護士」という働き方があるようなんです。今回は、その番組を見て知った「フリーランス介護士」について深掘りします。
介護業界において、新たな働き方が注目を集めています。それが「フリーランスの介護士」です。長年介護の現場で働いてきたある介護士の例を通じて、その可能性と実際の働き方について探ってみたいと思います。
理想の働き方を求めて
18年間介護の仕事に従事してきたベテラン介護士。しかし、介護施設での働き方に限界を感じ、1年半前からフリーランスとしての道を歩み始めました。この選択の背景には、介護施設での過酷な労働環境と、自分らしい介護を実践したいという強い思いがありました。
マッチングサービスの力
新しい働き方を支えているのが、介護業界で注目されている「マッチングサービス」です。このサービスは、介護を必要とする利用者と介護士をスマートフォンのアプリでつなぐ仕組みです。利用者のニーズに合わせて、自分に合った仕事を選ぶことができるため、フリーランスの介護士にとって大きな支えとなっています。
このサービスは、専門家の監修のもとで開発された適性試験に基づいており、介護士の能力や性格の傾向を数値化することで、利用者と介護士の相性を客観的に評価し、ミスマッチを防ぐ仕組みが特徴です。こうした取り組みが、利用者と介護士の双方にとって安心・安全な介護を実現しています。
利用者との絆
訪問介護を行っているある利用者との関係は、まさにマッチングサービスの成功例です。失語症を患うこの利用者のケアにおいて、介護士はその表情やしぐさから気持ちをくみ取り、食事の進み具合に応じて柔軟に対応します。この利用者は介護士の介護の質だけでなく、その人柄も気に入り、継続して指名しています。
例えば、食事が進まない場合には、好物を提案して提供することで利用者の表情が明るくなる瞬間を見逃しません。このように、利用者一人ひとりに合わせた細やかな対応ができることが、フリーランスの介護士の強みです。
働き方の変化と充実感
現在の働き方は、週5日、1日3時間程度の労働で、以前とほとんど変わらない収入を得ているそうです。労働時間が短くなったことで、自分のペースで働きながら利用者とじっくり向き合うことができるようになり、ライフワークバランスも取れるようになりました。この介護士は「今が一番、理想の働き方です」と話していました。
フリーランス介護士の増加と課題
このような働き方を可能にするマッチングサービスは、東京都内のベンチャー企業が開発しました。サービス開始から3年半で、5000人以上のフリーランス介護士が登録し、利用者も3倍に増加しています。背景には、働きながら親の介護をする「ビジネスケアラー」の増加があります。経済産業省の試算によれば、2030年には家族を介護する人のうち4割がビジネスケアラーになるとされています。
しかし、このサービスの利用には注意点もあります。費用が全額自己負担であることや、不当な契約内容に注意する必要があるため、利用者は慎重にサービスを選ぶ必要があります。特に、事業者が自由に価格設定できるため、契約内容をしっかり確認し、本当に必要なサービスかどうかを見極めることが重要です。
介護業界の未来
フリーランスの介護士が増えることで、多様な働き方が介護人材不足の解決につながる可能性があります。しかし、介護保険適用外のサービスが増える一方で、保険制度の改善や介護士の処遇改善も不可欠です。国は今年度、介護職員の給与に影響する「介護報酬」を見直し、人材確保に向けた取り組みを進めていますが、さらなる議論が必要です。
介護政策に詳しい専門家は、介護保険適用外のサービスはあくまで補完的な位置づけであり、介護保険の現場で働く介護士の処遇改善が重要であると指摘しています。介護報酬の見直しや介護士の給与引き上げには、私たちが支払う保険料の引き上げなども検討する必要があるでしょう。
さいごに
フリーランスの介護士の例は、新しい働き方が持つ可能性を示しています。介護する側も受ける側も満足できる仕組みを作るためには、制度の見直しや多様な働き方の導入が重要です。これからの介護業界において、フリーランスの介護士がどのような役割を果たしていくのか、その動向に注目していきたいと思います。
介護する側のやりがいや働きやすさ、介護を受ける側の満足度を高めるために、フリーランスの介護士という新しい働き方が果たす役割はますます大きくなることでしょう。多様な働き方の実現が介護人材不足の解決に寄与し、介護業界全体の質の向上につながることを期待しています。
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