日本の深刻化する人手不足への対応のため、2019年に創設されたのが在留資格「特定技能」です。
(詳しくはこちらの記事をご覧ください。▷在留資格「特定技能」とは?)
特定技能とは・・・
中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基
盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため、生産性向上や国内人材確保のため
の取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一
定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築するために特
定技能制度が創設されました。
(引用:特定技能ガイドブック|出入国在留管理庁)
今回は、特定技能の「介護」についてまとめました。
日本の高齢化社会において、介護人材の不足は深刻な問題となっています。このような状況の中、外国人の介護人材の受け入れが一つの解決策として注目されています。特定技能「介護」は、その中でも特に即戦力となる人材を受け入れるための新しい制度です。この記事では、特定技能「介護」について詳しく紹介します。
「介護職」の在留資格について
介護業界では人材不足が大変深刻化しており、現在、4つの在留資格によって介護職に従事することが可能となっています。
・特定技能「介護」
・技能実習「介護」
・在留資格「介護」
(▷詳しくはこちらの在留資格「介護」の記事をご覧ください。)
特定技能「介護」とは
深刻な人手不足に悩む特定の分野において、一定の専門性や技能を持った外国人を受け入れるために設けられた在留資格です。介護分野においても、特定技能外国人が受け入れられていますが、特定技能の在留資格を取得するためには、厳しい要件を満たす必要があります。なお、日本語能力の目安はN4程度とされています。
【在留期間】最長5年
【介護福祉士取得までに必要な、実務経験等の年数】介護施設等で3年以上
【家族帯同】不可(特定技能には1号と2号があるが、介護分野が該当となるのは特定技能1号のみ。)
特定技能「介護」の申請要件と試験
特定技能「介護」を取得するためには、以下の4つの方法があります。それぞれ確認していきましょう。
①介護技能評価試験+日本語試験
「介護技能評価試験」とは、介護業務に関する試験です。
「日本語試験」とは、「日本語能力試験(JLPT):N4以上」または、「国際交流基金日本語基礎テスト」のことで、いずれかの試験に合格する必要があります。それに加えて、「介護日本語評価試験」にも合格しなければなりません。
②技能実習2号(介護分野)からの移行
技能実習2号からの移行については、主に以下の2つが条件とされています。
・技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められる
そして、「介護日本語評価試験」に合格しなければなりません。
③介護福祉士養成施設を修了する
介護の技術や日本語の試験の合格は必要ではありません。介護福祉士養成課程を修了すると、特定技能「介護」を取得できます。
④EPA介護福祉士候補者として在留期間(4年間)を満了する
介護の技術や日本語の試験の合格は必要ではありません。4年間、EPA介護福祉士候補者として就労していれば、特定技能「介護」を取得できます。
そして、特定技能「介護」を取得して、介護事業所で最大5年間働くことができます。5年後には一旦帰国する必要がありますが、介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更し、永続的に働くことが可能です。
任せられる業務
特定技能「介護」の外国人が任される業務は、身体介護やそれに付随する支援業務が中心です。具体的には以下のような業務が含まれます。
・支援業務:レクリエーションの実施、機能訓練の補助
ただし、訪問介護サービスは対象外となっています。
雇用形態と労働条件
特定技能外国人の雇用形態は、直接雇用に限定されています。派遣などの形態は認められていません。また、労働条件については、日本人と同等以上の報酬や労働時間が求められます。
受け入れ人数の上限
事業所で受け入れることができる特定技能1号の外国人の数は、日本人の常勤介護職員(雇用保険被保険者)の総数を上限としています。
特定技能「介護」のメリット・デメリット
【メリット】
・即戦力となる外国人介護人材を迅速に確保できる
・新設の事業所でも外国人介護人材を雇用可能
・人員配置基準に迅速に加えられる
・常勤介護職員と同数まで外国人介護人材を受け入れ可能
【デメリット】
・転職リスクがある(外国人介護人材が自身で職場を選べるため)
・訪問介護系の事業所では受け入れ不可
・在留期間は5年が上限
受け入れ事業所の要件
受け入れ事業所が以下の要件を満たす必要があります
・適切な受け入れ体制があること
・外国人への生活支援や日本語学習支援を行うこと
具体的な支援計画
受け入れ事業所は、以下の項目について支援計画を立てなければなりません。
・出入国時の送迎
・住居確保や生活に必要な契約支援
・生活オリエンテーション
・公的手続きへの同行
・日本語学習の機会提供
・相談・苦情対応
・日本人との交流促進
・転職支援(自己都合退職以外)
・定期的な面談・行政機関への通報
支援計画の実施が難しい場合は、外部の登録支援機関に委託することも可能です。
分野別協議会への入会
在留資格「特定技能」で外国人を受け入れる事業所は、初めて1号特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に「介護分野における特定技能協議会」に加入する必要があります。
さいごに
特定技能「介護」は、日本の介護現場における人材不足を補うための有効な手段です。他の在留資格と比較して制約が少なく、即戦力としての外国人介護人材を迅速に確保できる点が魅力です。外国人介護人材の受け入れを検討している事業所は、特定技能「介護」の制度を活用して、効果的に人材を確保することをおすすめします。
※2024年3月の閣議決定にて、特定技能制度の大幅な変更がありました。下記の記事にまとめていますので、ご覧ください。
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