特定技能「建設」とは?

日本の深刻化する人手不足への対応のため、2019年に創設されたのが在留資格「特定技能」です。
(詳しくはこちらの記事をご覧ください。▷在留資格「特定技能」とは?

特定技能とは・・・
中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基
盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため、生産性向上や国内人材確保のため
の取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一
定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築するために特
定技能制度が創設されました。
(引用:特定技能ガイドブック|出入国在留管理庁

今回は、特定技能の「建設」についてまとめました。

日本は少子高齢化が進行しており、労働力不足が深刻な問題となっています。特に建設業界では人手不足が顕著であり、労働力の確保が急務です。そこで、政府は2019年4月に新たな在留資格「特定技能」を設け、特定の技能を持った外国人材の受け入れを促進する制度を導入しました。この記事では、特定技能「建設」について紹介します。

特定技能「建設」とは?

背景と目的

特定技能「建設」が創設された背景には、日本の建設業界における深刻な人手不足と高齢化があります。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)」によると、建設業は従業員不足を感じている業種の第2位あり、回答企業の69.2%が「正社員が不足している」と答えています。さらに、2024年4月から時間外労働の上限規制の適用対象となり、これよりもさらに人手不足割合が高まっている可能性もあるそうです。また、急速に従業員の高齢化が進んでおり、人材確保が急務な状態となっております。

このような状況を打破するために、有能な外国人材を受け入れる目的で特定技能「建設」が創設されました。

特定技能「建設」で外国人材が働くことのできる職種

特定技能「建設」では、土木区分、建築区分、ライフライン・設備区分の3つの業務区分があり、それぞれで外国人材を採用することが可能です。

土木区分

  • 型枠施工
  • コンクリート圧送
  • トンネル推進工
  • 建設機械施工
  • 土工
  • 鉄筋施工
  • とび
  • 海洋土木工
  • その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業

建築区分

  • 型枠施工
  • 左官
  • コンクリート圧送
  • 屋根ふき
  • 土木
  • 鉄筋施工
  • 鉄筋継手
  • 内装仕上げ
  • 表装
  • とび
  • 建築大工
  • 建築板金
  • 吹付ウレタン断熱
  • その他、建築物の新築、増築、改築若しくは移転、修繕、模様替又は係る作業

ライフライン・設備区分

  • 電気通信
  • 配管
  • 建築板金
  • 保温保冷
  • その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業

特定技能1号「建設」を取得するための要件

特定技能評価試験と日本語試験

外国人の方が特定技能1号「建設」を取得するには、以下の試験に合格する必要があります。

特定技能評価試験

建設分野特定技能1号評価試験は、国土交通省が定める試験で、学科試験と実技試験があります。
▷参考:JACウェブサイト「建設分野特定技能の評価試験情報と申込み」

学科試験
  • 問題数:30問
  • 試験時間:60分
  • 出題形式:真偽法(○×)および2~4択式
  • 実施方法:CBT方式
  • 合格基準:合計点の65%以上
実技試験
  • 問題数:職種毎に定める
  • 試験時間:職種毎に定める
  • 実施方法:作業試験、判断試験等から職種毎に定める
  • 合格基準:職種毎に定める

日本語試験

日本語試験には以下の2種類があります:

  • 日本語能力試験(JLPT)のN4以上
  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)

技能実習2号からの移行

もう一つの方法は、技能実習2号からの移行です。技能実習2号を良好に修了し、技能実習での職種と特定技能1号の区分が一致していれば、試験を受けずに特定技能1号に移行できます。

特定技能2号「建設」を取得するための要件

特定技能2号を取得するには、特定技能1号からの移行のみが認められています。特定技能1号を取得した後、建設分野特定技能2号評価試験又は技能検定1級に合格する必要があります。

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号は指導者の指示・監督を受けながら業務を行うのに対し、特定技能2号は複数の建設技能者を指導し、工程を管理する能力が求められます。また、特定技能2号は在留期間に制限がなく、家族の帯同も条件を満たせば可能です。

特定技能「建設」外国人材受け入れ企業の基準

建設特定技能受入計画認定

建設業で特定技能外国人を受け入れるためには、国土交通大臣の認定を受ける必要があります。主な審査基準は以下の通りです。

  1. 同一技能の日本人と同等額以上の賃金を支払うこと
  2. 月給制により報酬を安定的に支払うこと
  3. 建設キャリアアップシステムに登録していること
  4. 1号特定技能外国人の数が常勤職員の数を超えないこと

支援体制の義務

特定技能所属機関(受入機関)は、外国人材に対して住居の契約の際に連帯保証人となるなど、複数の支援を行うことが義務付けられています。この支援業務は登録支援機関に委託することも可能です。

特定技能「建設」外国人材受け入れ費用

受け入れ企業が毎月負担しなければならない「受入れ負担金」が発生します。この負担金は、JAC(一般社団法人建設技能人材機構)に支払います。また、JACまたはJAC正会員の建設業者団体への会費も発生します。

さいごに

特定技能「建設」は、少子高齢化と人材不足が深刻化する日本の建設業界にとって、重要な外国人労働力を確保するための制度です。特定技能1号と2号の在留資格を取得するための要件や試験内容、受け入れ企業の基準について理解し、適切に制度を活用することで、建設業界の労働力不足を解消し、持続可能な発展を支えることができます。

2024年3月の閣議決定にて、特定技能制度の大幅な変更がありました。下記の記事にまとめていますので、ご覧ください。


なお、当事務所の代表は日本語教師歴10年以上の経験を持ち、日本語研修やマナー研修を行うことが可能です。外国人労働者の方々が円滑に業務に取り組めるよう、お手伝いできればと考えております。ご依頼やご相談は、下記のコンタクトフォームからお気軽にお問い合わせください。


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