2. 雇用形態
特定技能「航空」では、外国人労働者を直接雇用することが求められています。派遣での採用は認められていません。
2. 報酬・給与
特定技能外国人の報酬・給与は、日本人が同等の業務に従事する場合と同等以上であることが求められます。外国人労働者に対して日本人よりも低い賃金を支払うことは許されていません。
3. 雇用後の支援
特定技能1号外国人を雇用する企業は、以下の一定の支援業務を行う義務があります。この支援は自社で行うか、登録支援機関に委託することができます。
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
▷引用:出入国在留管理庁 資料「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」pdf
4. 協議会への加入
特定技能外国人を受け入れる企業は、国土交通省が設置する「航空分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。特定技能外国人の入社後4ヶ月以内に加入しなければいけません。
▷参考:航空分野特定技能協議会の開催状況については、こちらの国土交通省のウェブサイトをご覧ください。
外国人労働者の要件(1号の場合)
特定技能で働く外国人は、以下の1と2.あるいは 3.の要件を満たす必要があります。
1. 技能系の試験に合格する
特定技能で働くためには、以下の試験に合格する必要があります。
航空分野特定技能1号評価試験とは?
特定技能1号「航空」を取得するための主要な方法は、「航空分野特定技能1号評価試験」に合格することです。試験内容は以下の通りです:
【空港グランドハンドリング】
・試験言語:日本語(ただし、専門用語等については注釈として他の言語で記載することもある)
・試験内容:空港グランドハンドリングの基本事項から出題
・筆記試験:ペーパーテスト形式(約30問/真偽法(○×式)or選択法)
・実技試験:写真・イラスト等を用いた判断等試験
【航空機整備】
・試験言語:日本語(ただし、専門用語等については注釈として他の言語で記載することもある)
・試験内容:航空機の基本技術(締結、電気計測)、作業安全・品質、及び航空機概要の基本事項から出題
・筆記試験:ペーパーテスト形式(約30問/真偽法(○×式)or選択法)
・実技試験:写真・イラスト等を用いた判断等試験
▷参考:試験について詳しく知りたい方は、日本航空技術協会(JAEA)のウェブサイトをご覧ください。
2. 日本語試験に合格する
特定技能「航空」を取得するためには、日本語能力も求められます。以下のいずれかの日本語試験に合格する必要があります:
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上
- JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)A2以上
日本語能力試験(JLPT)
JLPTは日本語能力を測定する試験で、N5からN1までの5段階があります。特定技能ではN4以上が求められ、日常的な日本語会話ができることが必要です。試験は年2回行われます。
▷参考:「日本語能力試験」については、こちらの記事をご覧ください。
国際交流基金日本語基礎テスト
このテストは、日常生活での日本語能力を測定するもので、年5回開催されます。
3. 技能実習2号を修了する
技能実習2号を修了した外国人労働者は、試験を免除され、特定技能への移行が可能です。ただし、技能実習2号の修了は航空分野で行われたものに限られます。
特定技能「航空」外国人の採用手順
採用する手順は以下の通りです。
- 支援体制の選択
特定技能1号外国人を雇用する企業は、支援業務を自社で行うか、登録支援機関に委託するかを選択する必要があります。現状としては、特定技能で外国人を採用している多くの企業が、支援業務を「登録支援機関」に委託しています。
- 雇用条件・給与の設定
雇用は、フルタイムの直接雇用である必要があります。外国人労働者の雇用条件や給与は、日本人と同等以上であることが求められます。特に、手取り額を重視する外国人労働者のために、寮や社宅の提供などの工夫が必要です。
- 求人募集の開始
雇用条件を決定したら、実際に外国人労働者の募集を開始します。以下のような方法があります。
- 自社のホームページやSNSでの求人情報発信
- 登録支援機関への人材紹介依頼
- ハローワークなどの公的機関の利用
- 国内外の民間職業紹介機関の利用
- 在留資格の申請
内定を出し、雇用契約を結んだら、出入国在留管理局に特定技能「航空」の在留資格申請を行います。外国人が既に日本にいる場合は在留資格変更申請、海外にいる場合は在留資格認定証明書交付申請を行います。
さいごに
特定技能「航空」は、日本の航空業界における深刻な人手不足を解消するための重要な制度です。この制度を通じて、一定の専門知識と技術を持つ外国人材が即戦力として日本で働くことができるようになりました。特定技能制度の導入により、企業は外国人労働者を受け入れやすくなり、外国人労働者も安心して働くことができる環境が整っています。
しかし、この制度を活用するためには、企業側も外国人労働者もそれぞれの要件を満たす必要があります。企業は特定技能所属機関として認定を受け、適切な雇用条件と支援体制を整えることが求められます。また、外国人労働者も技能試験や日本語試験に合格し、必要なスキルと知識を持つことが重要です。
今後、特定技能「航空」制度を最大限に活用するためには、政府と企業、そして外国人労働者が協力し、持続可能な人材確保の仕組みを構築することが求められます。