特定技能:定期報告とは?~必要書類・提出先・提出方法~

特定技能の定期報告

日本で外国人労働者を雇用する際、在留資格「特定技能」を利用する企業は、定期的に出入国在留管理庁(=入管)に報告を行う義務があります。この定期報告は、特定技能外国人を受け入れている全ての企業に適用され、企業が適切な労働環境を提供しているかどうかを確認するための重要なプロセスです。この記事では、特定技能外国人を雇用する際に求められる定期報告について、詳しく解説していきます。

うつのみや
この記事は、こんな方におすすめ!
・特定技能の定期報告について知りたい方
・特定技能外国人を雇用している方

定期報告とは?

特定技能外国人を受け入れている企業(特定技能所属機関)は、四半期ごとに入管に対して定期報告を行う必要があります。この報告には、雇用している特定技能外国人の労働状況、給与の支払い状況、その他の重要な情報が含まれます。定期報告を通じて、入管は外国人労働者の労働条件が適切であるか、雇用契約が守られているかを確認します。

定期報告を怠った場合のリスク

定期報告を怠ったり、報告内容に不正があった場合、企業は厳しい罰則や過料を受ける可能性があります。さらに、特定技能外国人の受け入れが停止されるリスクもあります。したがって、企業は必ず期限内に報告を行い、正確な情報を提供することが求められます。

定期報告に必要な書類

定期報告に際しては、いくつかの書類を提出する必要があります。これらの書類は、特定技能外国人を受け入れている企業自身が準備するものと、登録支援機関が支援を行っている場合に必要なものに分かれます。

企業が準備する書類

企業が準備すべき主な書類には以下のものがあります。

受け入れ・活動状況に係る届出書 PDF

特定技能外国人の受け入れ状況、労働条件、給与の支払い状況、労働保険や社会保険の適用状況、税金の納付状況などを記載します。また、特定技能外国人の受け入れに要した費用も報告しなければなりません。

【 記載項目 】
届出対象期間、特定技能所属機関、受入れ状況に関すること、報酬に関すること、雇用状況に関すること、労働保険の適用状況に関すること、社会保険の加入状況に関すること、税の納付状況に関すること、安全衛生の状況に関すること、特定技能外国人の受入れに要した費用の額、その他の適格性に関すること、本届出に関する担当者
【 注意点 】
『雇用状況に関すること』の項目の注意点は以下の通りです。
記載する「従業員」はフルタイムで就労している方が対象となります。この「従業員」には、特定技能所属機関が雇用している全ての従業員が対象となるため、特定技能外国人が働いている事業所以外の事業所に勤務する従業員も含まれます。在籍者数、新規雇用者数は、届出対象期間内に就労を始めた方が対象となります。該当者がいない場合は、0を記載しましょう。
雇用状況に関すること
『特定技能外国人の受入れに要した費用の額』の項目の注意点は以下の通りです。
1号特定技能外国人支援計画の費用:登録支援機関に委託している場合、その支援料の総額を記載し、対象者数は届出期間中に支援を行った外国人の総数です。
受入れ準備費用:紹介手数料やビザ申請費用など、特定技能外国人を採用する際に支払った全費用を記載し、外国人が負担した費用も明記します。
特定技能外国人の総数:届出期間中に新たに受け入れた外国人の人数を記載し、以前から就労している方は含みません。
特定技能外国人の受入れに要した費用の額
『本届出に係る担当者』の項目の注意点は以下の通りです。
特定技能所属機関の役職員であって、届出書の作成に際し責任を負う方を記載します。
届出書作成者と異なる場合でも構いません。

『本届出書作成者の署名/作成年月日』の項目の注意点は以下の通りです。
届出書は、特定技能所属機関の役職員が作成し署名する必要があり、行政書士や弁護士以外への作成依頼は法律違です。登録支援機関に委託している場合でも、登録支援機関が届出書を作成することは認められていないため、注意が必要です。

特定技能外国人の受け入れ状況・報酬の支払状況 PDF

特定技能外国人の氏名、生年月日、国籍、活動日数、給与などを詳細に記載します。報告対象期間中に就労していた全ての特定技能外国人について、正確な情報を提供することが重要です。

【注意点】
給与等の額については、届出対象期間中に該当する月に支払われた額を記載し、支払いがない月は斜線を引いてください。
)月末締めの翌月10日支払いの場合
1月:1月10日支払い分(11月21日~12月20日就労分)を記載
2月:2月10日支払い分(12月21日~1月20日就労分)を記載
3月:3月10日支払い分(1月21日~2月20日就労分)を記載

賃金台帳の写し

特定技能外国人の賃金台帳の写しを提出します。さらに、比較対象となる日本人従業員の賃金台帳も添付する必要があります。同一の業務に従事する日本人従業員がいない場合でも、類似する業務を行っている日本人の台帳を提出しなければなりません。

報酬支払証明書 PDF

特定技能外国人への給与を現金で支払っている場合、報酬支払証明書を提出する必要があります。銀行振込の場合、この証明書は不要です。

登録支援機関が支援を行っている場合

登録支援機関に支援を委託している場合は、次の書類も必要です。

支援実施状況に係る届出書 PDF

登録支援機関が特定技能外国人に対して行った支援の実施状況を報告する書類です。

特定技能外国人支援対象者名簿 PDF

支援を受けた特定技能外国人の詳細な情報をリストにまとめて報告します。

定期面談報告書 PDF

特定技能外国人およびその監督者との面談記録を報告するための書類です。面談は三ヶ月に一度実施し、その内容を詳細に記録します。
監督者用の定期面談報告書 PDF

自社で支援を行っている場合

自社で特定技能外国人への支援を行っている場合、上記の「企業が準備する書類」に加えて、以下の書類などが必要です。

支援実施状況に係る届出書 PDF

特定技能外国人に対して行った支援の実施状況を報告する書類です。
なお、支援を実施した特定技能外国人が複数名いて、支援状況が同じである場合は「支援対象者名簿 PDF」を併せて使用することも可能です。

相談記録書 PDF

特定技能外国人からの相談内容とその対応を報告します。相談や苦情の対応が発生しなかった場合は、この記録書の提出する必要はありません。

定期面談報告書 PDF

特定技能外国人およびその監督者との面談記録を報告するための書類です。面談は三ヶ月に一度実施し、その内容を詳細に記録します。
監督者用の定期面談報告書 PDF

転職支援報告書 PDF

非自発的離職時に転職支援を実施した場合、その詳細を報告するための書類です。

提出先と手続き方法

定期報告書類は、受け入れ企業が所在する地域を管轄する地方出入国在留管理局に提出する必要があります。提出方法としては、以下の手段が利用可能です。

  1. 郵送提出
    • 書類を郵送で地方出入国在留管理局に送付する方法です。提出期限に間に合うよう、余裕をもって郵送手続きを行うことが重要です。郵送の場合は、送付先の住所を確認し、確実に届くよう配達証明付きで送ることをお勧めします。
  2. 窓口提出
    • 直接、管轄の地方出入国在留管理局の窓口に書類を持参して提出する方法です。直接提出することで、書類の不備をその場で確認できるという利点がありますが、提出には予約が必要な場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
  3. オンライン提出
    • 入管が提供するオンラインシステムを利用して、定期報告書類を電子的に提出する方法です。この方法は、時間や場所を問わず提出が可能で、企業にとって非常に便利です。ただし、システムの利用には事前の登録が必要です。

提出先の確認

企業は、提出先の地方出入国在留管理局を事前に確認することが重要です。提出先は、受け入れ企業の本社所在地や事業所所在地によって異なります。各地方出入国在留管理局の連絡先や住所は、入管の公式ウェブサイトで確認することができます。

【主な地方出入国在留管理局】
・東京出入国在留管理局(就労審査第三部門):〒108-8255 東京都港区港南5-5-30
・名古屋出入国在留管理局(就労審査第二部門):〒455-8601 愛知県名古屋市港区正保町5-18
・大阪出入国在留管理局(就労審査部門):〒559-0034 大阪府大阪市住之江区南港北一丁目29番53号
・福岡出入国在留管理局(就労・永住審査部門):〒810-0073 福岡県福岡市中央区舞鶴3-5-25 福岡第1法務総合庁舎

提出期限と準備

定期報告は四半期に一度、必ず行わなければならない業務です。企業は各四半期の終了後14日以内に報告書を提出しなければなりません。事前に必要な書類を揃えておくことで、スムーズに報告を行うことができます。

期間 締め切り
第1四半期(1/1~3/31) 4月14日
第2四半期(4/1~6/30) 7月14日
第3四半期(7/1~9/30) 10月14日
第4四半期(10/1~12/31) 1月14日

さいごに

特定技能外国人を雇用する企業にとって、定期報告は重要な義務であり、これを怠ることは大きなリスクを伴います。特に初めて外国人労働者を受け入れる企業にとっては、報告の手順や必要な書類が多く、複雑に感じるかもしれません。しかし、事前にしっかりと準備を整え、必要な情報を正確に報告することで、リスクを回避し、安定した受け入れを続けることができます。報告書の作成や提出に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。

行政書士トラスト事務所のサービス

特定技能外国人を受け入れる企業の皆様、行政書士トラスト事務所では、特定技能制度に関する書類作成や提出のサポートを行っています。特に、3ヶ月ごとに作成が義務付けられている定期報告書の作成は、企業にとって煩雑で時間のかかる作業です。当事務所では、日本語教師歴10年以上の代表行政書士が担当し、報告書作成を安心してお任せいただける1年間のサポートプランを提供しております。

サービス内容:
・特定技能・就労後定期報告書作成サポート(1年間)

料金:
100,000円~(税込み)

煩わしい書類作成を専門家に任せることで、貴社は本業に専念できます。さらに、定期的なフォローアップとアドバイスを通じて、特定技能外国人の管理をサポートします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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当事務所では、オンライン面談や出張相談にも対応しております。また、営業日以外でも可能な限りメールやLINEでの対応を行っております。お気軽にお好みの方法でお問い合わせください。以下のボタンからお好きなツールで直接メッセージを送ることができます。

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