行政書士の主な業務の一つである自動車登録関係。【はじめての自動車登録】と題して、初めて自動車登録や車庫証明をされる方向けに、記事を書いています。実際の法令上の文言と表現が異なる箇所もあるかもしれませんが、自動車についてあまり詳しくない方向けに、わかりやすい言葉で書いています。今回は、新規登録の手続きや必要書類について紹介します。
・はじめて自動車の手続きをする方
・新人行政書士の方
・自動車登録に興味がある方
新規登録とは?
新規登録とは、現在ナンバープレートの付いていない状態の車両を登録することです。登録を受けていない車はそのままでは公道を走ることができません。このような車を使用する際には運輸支局等で登録申請をする必要があります。
工場生産のあと、初めて登録する新車新規と登録抹消後に再度新規登録をする中古新規では、必要となる書類が違います。新車新規のとき、国内の流通が多い車の場合、型式指定車となる場合が多いです。
型式指定車とは?
自動車の完成時に製造工場で検査することで、運輸支局等への持ち込み検査を省略することが可能な自動車のことを型式指定車といいます。国内の多くの自動車(自家用乗用車)は、型式指定車となっているため、新車の新規登録の場合に、自動車を持ち込んで検査する必要がありません。そのため、手続きがスムーズになっています。そして、正規ディーラー(型式指定車を販売する会社)は、自社でナンバープレートの封印や取り付けを行うことができます。この封印申請手続きのことを、乙種封印委託申請(※1)といいます。
※1 乙種封印委託申請:自動車を扱うディーラーが自社の事業所で封印の取付をできる制度のことです。
封印とは?
封印はアルミ製のキャップで、取付けを行った運輸支局等を示す漢字が刻印されています。封印の位置は車両後部ナンバープレートの左側と法律で定められており、公道を走行するには必須です。引っ越しや中古車購入で運輸支局が変わった場合には、ナンバープレートを取り替えて新たに封印をする必要があります。封印が破損・紛失した場合は、運輸支局で再封印の手続きを行います。盗難によりナンバープレートを紛失した場合は警察署への届出も必要です。封印は自動車が運輸支局で登録されナンバープレートを取得したことを証明し、ナンバープレートの取り外し防止や犯罪防止の役割を担います。軽自動車は封印が不要です。
乙種封印は、ディーラーが封印の取り付けをできる制度のことでしたが、丁種封印というものもあります。これは、地方運輸支局と各都道府県行政書士会が契約し、条件を満たした行政書士が封印を行うことです。封印取付受託者は「甲種」「乙種」「丙種」「丁種」に分類され、丁種は各都道府県の行政書士会です。行政書士が他の丁種会員に再々委託することも可能です。
なお、2024年7月1日以降、乙種・丙種受託者も丁種受託者に封印を委託できるようになりました。この変更により、繁忙期などに乙種・丙種受託者が丁種受託者に手続きを依頼することが可能となりました。
完成検査の有効期限とは?
新車の完成検査のときにもらう安全性を保障した書類を完成検査終了証といいます。この書類の有効期限は9か月となっています。そのため、新車として製造されてから9か月以内に自動車を登録しなければいけません。もし、登録ができなかったら、改めて運輸局等に持ち込んで、新規検査をする必要があります。型式指定車の新車新規登録申請の場合、完成検査終了証の発行日をしっかりと確認しておきましょう!
型式指定車の新規登録の必要書類
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新規登録申請書(新規検査及び自動車検査証交付申請書、又は自動車検査証交付申請書)
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OCR申請書第1号様式 PDF
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所有者本人が直接申請する場合は実印を押印。
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所定の手数料印紙を貼付した手数料納付書
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自動車検査登録印紙を貼付、キャッシュレスの場合はその旨記載。運輸支局等で配布されています。
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所定の重量税印紙を貼付した自動車重量税納付書
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重量税印紙を貼付、キャッシュレスの場合はその旨記載。運輸支局等で配布されています。
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譲渡証明書 PDF
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所有者の変更がある場合に限り必要となります。
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譲渡人は実印を押印。
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譲渡人が支配人・清算人等であっても資格証明書は不要。
- 最近は、電子データで送信する場合が多いです。
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完成検査終了証(電子情報)
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発行されてから9ヶ月以内のもの。
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完成検査終了証の有効期限切れの場合は完成検査終了証に加えて合格印のある自動車検査票又は有効な自動車予備検査証。
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所有者の印鑑(登録)証明書
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発行されてから3ヶ月以内のもの。
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申請人(所有者)が支配人による申請の場合は本社の所在証明として商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書を添付。
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申請人(所有者)が外国人で印鑑(登録)証明書の提出ができない場合は、大使館又は領事館若しくは官公署が発行したもので氏名及び住所が記載されたサイン証明書であれば印鑑(登録)証明書とみなす。
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申請人(所有者)が未成年の場合、親権者が確認できる戸籍謄(抄)本又は戸籍の全部(個人)事項証明書及び親権者全員が実印を押印した同意書並びに親権者のうち1名の発行されてから3ヶ月以内の印鑑(登録)証明書を添付。なお、未成年者で印鑑(登録)証明書が発行されない年齢の場合は印鑑(登録)証明書に代えて住民票を添付。
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登録令第14条第1項第2号にかかる許可、同意又は承諾を証する書面(民法108条等、自己契約・双方代理にあっては取締役会等の議事録等の写し。なお、利益相反行為禁止の適用除外を受けるのに登記が必要であれば商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書及び許可又は同意を得たことを証する書面)。
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申請人(所有者)が外国法人で国内に拠点がなく印鑑(登録)証明書の発行を受けることができない場合は「本国法に準拠して成立し法人格を有していること、法人を代表する権限を有するもの及びその者のサインについて、当該外国の官憲が証明した書面」又は、「日本における領事等が当該商事会社は本国において法人格を有する旨及び日本における代表者である旨を認証した書面と日本における代表者のサイン証明書」を添付し、所在地は外国の住所で登録する。なお、添付書類が、外国語により作成されている場合は、必要に応じて翻訳した者が氏名及び住所を記載した訳文を添付。
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所有者の委任状 PDF
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代理人による申請の場合に限り必要。
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実印を押印。
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使用者の委任状 PDF
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申請書に使用者の記名があれば不要。
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自動車保管場所証明書(車庫証明)
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使用の本拠の位置が自動車保管場所証明書適用地域の場合に限り必要。
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使用者のもの。
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証明の日から概ね1ヶ月以内のもの。
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使用の本拠の位置を証するに足りる書面
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使用の本拠の位置が使用者の住所と異なる場合であって自動車保管場所証明書適用地域外の場合に限り必要。
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各書面は写しで可とする。
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使用者が個人の場合
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公的機関発行の事業証明書又は営業証明書、継続的に拠点があることが確認できる課税証明書、電気・都市ガス・水道・固定電話料金領収書のいずれか(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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使用者が法人の場合
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商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書若しくは印鑑(登録)証明書(本店以外で商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書で証明できない場合、公的機関発行の事業証明書又は営業証明書、継続的に拠点があることが確認できる課税証明書、電気・都市ガス・水道・固定電話料金領収書のいずれか)(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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使用者の住所を証するに足りる書面
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国若しくは地方公共団体の使用する自動車若しくは自動車運送事業の用に供する自動車の場合又は所有者と使用者が同一である自動車の場合には不要。
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各書面は写しで可とする。
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個人
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住民票、印鑑(登録)証明書、大使館又は領事館若しくは官公署が発行したもので氏名及び住所が記載されたサイン証明書(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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法人
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商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書若しくは印鑑(登録)証明書(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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本店以外で商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書で証明できない場合は、公的機関発行の事業証明書又は営業証明書、継続的に拠点があることが確認できる課税証明書、電気・都市ガス・水道・固定電話料金領収書のいずれか(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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再資源化等預託金(リサイクル料金)の預託がされていること(証拠書類不要)
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事業用自動車等連絡書
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自動車運送事業等の用に供する自動車の場合に限り必要。
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事業用自動車等連絡書、レンタカー事業者証明書(写し)又はワンウェイ方式実施事業者証明書(写し)
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自家用自動車有償貸渡事業の場合に限り必要。
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その他
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希望番号予約済証(希望番号を付ける場合)、字光式番号標交付願等
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自動車損害賠償責任保険(共済)証明書(自賠責)
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登録情報処理機関に電磁的に提供されている場合は不要。
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- 税申告書(自動車税事務所で配布されています)
中古新規登録の必要書類
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新規登録申請書(新規検査及び自動車検査証交付申請書、又は自動車検査証交付申請書)
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OCR申請書第1号様式 PDF
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所有者本人が直接申請する場合は実印を押印。
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所定の手数料印紙を貼付した手数料納付書
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自動車検査登録印紙を貼付、キャッシュレスの場合はその旨記載。運輸支局等で配布されています。
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所定の重量税印紙を貼付した自動車重量税納付書
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重量税印紙を貼付、キャッシュレスの場合はその旨記載。運輸支局等で配布されています。
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譲渡証明書 PDF
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所有者の変更がある場合に限り必要となります。
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譲渡人は実印を押印(押印した譲渡人の印鑑証明書は不要)。
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譲渡人が支配人・清算人等であっても資格証明書は不要。
- 登録識別情報等通知書の所有者から新所有者への譲渡の記録がわかるもの。
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登録識別情報等通知書
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所有者の印鑑(登録)証明書
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発行されてから3ヶ月以内のもの。
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申請人(所有者)が支配人による申請の場合は本社の所在証明として商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書を添付。
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申請人(所有者)が外国人で印鑑(登録)証明書の提出ができない場合は、大使館又は領事館若しくは官公署が発行したもので氏名及び住所が記載されたサイン証明書であれば印鑑(登録)証明書とみなす。
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申請人(所有者)が未成年の場合、親権者が確認できる戸籍謄(抄)本又は戸籍の全部(個人)事項証明書及び親権者全員が実印を押印した同意書並びに親権者のうち1名の発行されてから3ヶ月以内の印鑑(登録)証明書を添付。なお、未成年者で印鑑(登録)証明書が発行されない年齢の場合は印鑑(登録)証明書に代えて住民票を添付。
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登録令第14条第1項第2号にかかる許可、同意又は承諾を証する書面(民法108条等、自己契約・双方代理にあっては取締役会等の議事録等の写し。なお、利益相反行為禁止の適用除外を受けるのに登記が必要であれば商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書及び許可又は同意を得たことを証する書面)。
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申請人(所有者)が外国法人で国内に拠点がなく印鑑(登録)証明書の発行を受けることができない場合は「本国法に準拠して成立し法人格を有していること、法人を代表する権限を有するもの及びその者のサインについて、当該外国の官憲が証明した書面」又は、「日本における領事等が当該商事会社は本国において法人格を有する旨及び日本における代表者である旨を認証した書面と日本における代表者のサイン証明書」を添付し、所在地は外国の住所で登録する。なお、添付書類が、外国語により作成されている場合は、必要に応じて翻訳した者が氏名及び住所を記載した訳文を添付。
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所有者の委任状 PDF
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代理人による申請の場合に限り必要。
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実印を押印。
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使用者の委任状 PDF
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申請書に使用者の記名があれば不要。
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自動車保管場所証明書(車庫証明)
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使用の本拠の位置が自動車保管場所証明書適用地域の場合に限り必要。
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使用者のもの。
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証明の日から概ね1ヶ月以内のもの。
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使用の本拠の位置を証するに足りる書面
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使用の本拠の位置が使用者の住所と異なる場合であって自動車保管場所証明書適用地域外の場合に限り必要。
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各書面は写しで可とする。
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使用者が個人の場合
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公的機関発行の事業証明書又は営業証明書、継続的に拠点があることが確認できる課税証明書、電気・都市ガス・水道・固定電話料金領収書のいずれか(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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使用者が法人の場合
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商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書若しくは印鑑(登録)証明書(本店以外で商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書で証明できない場合、公的機関発行の事業証明書又は営業証明書、継続的に拠点があることが確認できる課税証明書、電気・都市ガス・水道・固定電話料金領収書のいずれか)(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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保安基準に適合していることが確認できる書面
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次のうちいずれかのもの
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合格印のある自動車検査票(持ち込み検査で取得する)
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有効な自動車予備検査証(発効後9か月以内)
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乗用車で保安基準適合証の交付を受けた自動車にあっては有効な保安基準適合証(発効後15日以内、乗用車と一部の貨物に限る)
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使用者の住所を証するに足りる書面
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国若しくは地方公共団体の使用する自動車若しくは自動車運送事業の用に供する自動車の場合又は所有者と使用者が同一である自動車の場合には不要。
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各書面は写しで可とする。
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個人
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住民票、印鑑(登録)証明書、大使館又は領事館若しくは官公署が発行したもので氏名及び住所が記載されたサイン証明書(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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法人
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商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書若しくは印鑑(登録)証明書(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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本店以外で商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書で証明できない場合は、公的機関発行の事業証明書又は営業証明書、継続的に拠点があることが確認できる課税証明書、電気・都市ガス・水道・固定電話料金領収書のいずれか(発行されてから3ヶ月以内のもの)
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事業用自動車等連絡書
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自動車運送事業等の用に供する自動車の場合に限り必要。
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事業用自動車等連絡書、レンタカー事業者証明書(写し)又はワンウェイ方式実施事業者証明書(写し)
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自家用自動車有償貸渡事業の場合に限り必要。
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その他
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希望番号予約済証(希望番号を付ける場合)、字光式番号標交付願等
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自動車損害賠償責任保険(共済)証明書(自賠責)
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登録情報処理機関に電磁的に提供されている場合は不要。
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- 税申告書(自動車税事務所で配布)
税金について
新規登録における税金には、以下の3つものがあります。
自動車税種別割
自動車の所有者は、新規登録した場合、登録時に3月までの自動車税の種別割を月割で支払います。この金額は、車の種類と排気量(最大積載量)によって税額が決まり、燃費基準によって減税されます。基本的に、所有者が納税義務者となりますが、たとえば所有権留保で登録した場合(ローンなどで購入し、買主が使用者で、信販会社などが所有者となる場合)、使用者(=買主)が納税義務者となります。
自動車税環境性能割
これは、自動車を購入したときに支払う税金です。以前は、自動車取得税というものがありましたが、これは2019年に廃止されました。ただ、自動車取得税とほぼ同じ税金のため、今でも取得税と呼ばれることもあります。自動車の取引価格に燃費基準、車の用途に応じて0.5%~3%の税率をかけた金額が税額となり、燃費基準によって免税されます。
自動車重量税
これは、自動車の検査のときに支払う税金です。年額に対して、車検の期間をかけた金額です。一般的な自家用乗用車の車検期間は3年間なので、新規登録の際に3年分支払います。この重量税は、総重量と燃費基準、車両の種類で決まります。
さいごに
この記事では、自動車の新規登録に必要な手続きや書類について詳しく解説しました。初めて自動車を登録する際には、必要な書類や手続きが多く、戸惑うこともあるかもしれません。そんなときは、専門家のサポートを受けることで、スムーズに手続きを進めることができます。
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