外国人は、原則として在留資格を持っていないと、日本に在留することはできません。
その外国人が日本で行おうとする活動が、法務省の定める在留資格に該当しなければ、在留資格を与えられることはありません。
▷在留資格と査証の違いについてはこちらの記事でまとめています。
在留資格は、さまざまなものがあります。
日本で培われた技能・技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、その開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的に創設された在留資格が「技能実習」です。今回は、この「技能実習」という在留資格について紹介します。
※日本政府は、技能実習制度を廃止し、新たな在留資格を創設する予定です。(2024年5月現在)
▷参考:「政府 技能実習制度を廃止し「育成就労制度」新設する方針決定」(NHK NEWS WEB)
在留資格は大きく2系統
在留資格は在留の目的に応じて大きく2系統にわかれます。
日本で行う活動に応じた在留資格
例)就労・留学・家族滞在など
身分や地位に応じた在留資格
例)永住者・日本人の配偶者や子など
参考:在留資格について(出入国在留管理庁のページです)
中長期在留者とは?~在留資格を与えられる外国人~
入管法第19条の3には、以下のように書かれています。
入管法第19条の3(中長期在留者)
出入国在留管理庁長官は、本邦に在留資格をもって在留する外国人のうち、次に掲げる者以外の者(以下「中長期在留者」という。)に対し、在留カードを交付するものとする。1号:3月以下の在留期間が決定された者
2号:短期滞在の在留資格が決定された者
3号:外交又は公用の在留資格が決定された者
4号:前3号に準ずる者として法務省令【施行規則19条の5】で定めるもの
つまり、中長期在留者とは・・・
・3か月以上日本に在留する
・「短期滞在」「外交」「公用」の在留資格が与えられていない
・「特定活動」の在留資格が決定された台湾日本関係協会の日本の事務所、若しくは、駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族ではない
・特別永住者ではない
在留資格は29種類(令和6年8月時点)
法務省が定めている在留資格は29種類あります。
今回は、そのうちの「技能実習」について紹介します。
在留資格「技能実習」
外国人技能実習制度は、1993年に創設されました。この制度は日本での就労そのものを目的としておらず、技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与することで、国際貢献することを目的として創設されました。しかし、以前から実習生の労働環境について問題点が指摘されており、廃止する方針が決まっています。
・該当例
入管法別表第一によると・・・
【1号】
イ:技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第一号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動
ロ:技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第一号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動【2号】
イ:技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第二号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
ロ:技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第二号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
【3号】
イ:技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第三号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
ロ:技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第三号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
つまり、以下の者が該当します。
技能実習生
・在留期間 ※通算で上限5年まで
【1号】
法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)
【2号】
法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲)
【3号】
法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲)
・注意点
全ての国から受入れていない
この在留資格の創設目的が”技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転”ということもあり、全ての国から技能実習生を受入れているわけではありません。主に、ベトナム・中国・インドネシア・フィリピン・ミャンマー・タイ・カンボジアなどから受入れています。
2種類の受入れ方式
技能実習生を受け入れる方法は、「団体監理型」と「企業単独型」で、受け入れのほとんどが「団体監理型」です。
事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方法です。技能実習生は日本へ入国後に、日本語教育や技能実習生の法的保護に必要な知識等についての講習を受けた後、日本の企業等との雇用関係の下で、実践的な技術や知識の修得を行います。
主に大企業などの日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を直接受け入れて技能実習を実施する方法です。日本語教育などの講習の実施時期については入国直後でなくても可能です。
3種類の在留資格
在留資格「技能実習」は、上記の受け入れ方式ごとに、下記の3つの在留資格にわかれています。
② 2・3年目の技能等に習熟するための活動 【技能実習2号】
③ 4年目・5年目の技能等に熟達する活動 【技能実習3号】
*「企業単独型」の場合
1年目:「技能実習1号イ」 / 2・3年目:「技能実習2号イ」 / 4・5年目:「技能実習3号イ」
*「監理団体型」の場合
1年目:「技能実習1号ロ」 / 2・3年目:「技能実習2号ロ」 / 4・5年目:「技能実習3号ロ」
対象職種について
1年目(技能実習1号)では、「対象職種」自体には制限がありません。しかし同一の作業の反復のみによって修得できるような仕事はすることができません。しかし、2年目以降の「技能実習2号」は、1年目に培った技能等を更に習熟することを目的としており、対象職種が制限されています。さらに「技能実習2号」に移行するためには、技能実習法で定められている認定試験に合格する必要があります。
また、4年目以降の「技能実習3号」は、「技能実習2号」と同様に実習生自身に関する条件の他、受け入れ先が主務省令で定められた基準に適合していると認められた優良な監理団体もしくは実習実施者である必要があり、全ての条件を満たさなければ移行することはできません。
さいごに
今回は、在留資格の「技能実習」について紹介しました。前述したとおり、「技能実習」は廃止の方針が決まっている在留資格です。実習生の労働環境が悪く、”現代の奴隷制度”と表現されたこともあり、制度の見直しが検討されていました。新しく「育成就労」という在留資格が創設される予定です。以下の記事でまとめていますので、ご覧ください。
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