日本で長期的に生活を希望する外国人にとって、永住許可を取得することは大きな目標となります。永住許可を取得することで、在留期間や活動の制限がなくなり、より自由に日本での生活を楽しむことができます。(在留カードの更新は必要です。)しかし、その取得には厳格な要件を満たす必要があります。この記事では、永住許可に関する重要なポイントとその取得要件について詳しく説明します。
・日本の永住許可申請について知りたい方
・永住許可申請をしようと思っている方
・永住許可申請の要件を知りたい方
永住許可の基本概要
永住許可とは、日本に在留する外国人が、法務大臣の許可を得て在留資格「永住者」を取得することを指します。この許可を受けることで、外国人は国籍を変えることなく、無期限に日本に住む権利を得ることができます。他の在留資格と比べて、永住者には在留活動や在留期間の制限がないため、より安定した生活を送ることが可能となります。
永住許可の取得要件
永住許可を取得するためには、以下の3つの主要な要件を満たす必要があります。これらの要件は、日本での安定した生活と社会貢献を評価するための基準であり、慎重に審査されます。
1. 素行が善良であること
永住許可を申請する者は、日常生活において法律や社会的規範を遵守し、他の住民から非難されるような行動を取っていないことが求められます。具体的には、以下のような点が考慮されます。
- 犯罪歴の有無: 重大な犯罪歴がないことが重要です。特に、過去に刑事罰を受けたことがある場合、その内容や状況によっては、永住許可の取得が難しくなることがあります。また、軽微な違反であっても、繰り返し起こる場合は問題視されることがあります。
- 社会的ルールの遵守: 税金や社会保険料の支払い状況も審査の対象となります。未納や遅延がある場合は、素行が善良でないと判断される可能性があります。また、交通違反や公共の秩序を乱す行為など、日常的な行動も評価されます。
- 社会的な信用: 地域社会との関係や、ボランティア活動などの社会貢献も考慮されることがあります。日本社会に溶け込み、良好な関係を築いていることが、素行の善良さの証明となる場合があります。
2. 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
申請者が日本で安定した生活を維持できることは、永住許可の重要な要件です。これは、申請者が公共の負担とならず、自らの資産や技能によって独立した生計を営めるかどうかを判断するための基準です。
- 安定した収入: 申請者には、安定した収入源があることが求められます。これは、雇用主からの給与や、自営業者の場合は事業からの収益などが含まれます。また、家族がいる場合は、家族全体の収入も考慮され、扶養家族を養うだけの十分な収入があることが必要です。
- 貯蓄と資産: 収入だけでなく、貯蓄や不動産などの資産も評価されます。例えば、万が一の事態に備えるための十分な貯蓄があることは、安定した生活を送る上で重要な要素と見なされます。
- 技能や職業的な安定性: 特定の技能や資格を持ち、それによって就労が安定していることもプラスに働きます。特に、日本で求められる技能を持つ職業に就いている場合、その技能が永住許可取得に有利に働くことがあります。
3. 日本国の利益に合すると認められること
永住許可を取得するためには、申請者の永住が日本国の利益にかなうと認められる必要があります。この要件は、日本に長期間住んでいるかどうかや、その期間中の活動内容などを総合的に判断されます。
- 在留期間の長さ: 原則として、申請者は10年以上日本に在留していることが求められます。特に、就労資格または居住資格を5年以上有していることが重要です。
- 社会貢献と適応性: 日本社会への貢献度や適応性も評価されます。例えば、地域社会への積極的な参加や、文化的な適応、または日本の経済や社会に対する貢献が高いと評価される場合、その永住が日本国の利益に合すると認められることがあります。
- 特別な事情: また、申請者が日本で特別な事情を抱えている場合、例えば、日本人の配偶者や子供がいる場合や、特定の技能や知識で日本に貢献している場合は、この要件において有利に働くことがあります。
永住許可の特例とその要件
永住許可を取得するための基本的な要件には厳しい条件が設定されていますが、特定の条件を満たす場合には、これらの要件が一部緩和される特例が存在します。以下に、主な特例とその詳細な要件を紹介します。
1. 日本人の配偶者等の場合
日本人、永住者、または特別永住者の配偶者や子供に対しては、永住許可の要件が特例として緩和される場合があります。
- 婚姻の継続期間: 日本人または永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続していることが必要です。この「実体を伴った」という表現は、形だけの結婚ではなく、実際に共に生活し、社会的にも認められた婚姻関係であることを意味します。
- 在留期間: 加えて、1年以上日本に継続して在留していることが求められます。これにより、日本社会に適応し、安定した生活を送っているかどうかが判断されます。
- 子供に関して: 日本人や永住者の子供である場合、1年以上日本に継続して在留していることが条件となります。特に子供の場合は、教育環境や生活環境への適応が重視され、日本での安定した成長が見込まれることが必要です。
2. 「定住者」の在留資格を持つ場合
「定住者」の在留資格を有する者は、他の在留資格と比べて永住許可の要件が緩和される場合があります。
- 在留期間: 「定住者」として5年以上日本に継続して在留していることが要件となります。「定住者」は、法務大臣の特別な許可を受けた者であり、日本での生活が安定していると認められるため、永住許可の審査において有利に働きます。
- 社会適応と貢献度: 「定住者」としての在留期間中に、日本社会にどのように適応し、貢献しているかも重要な判断基準となります。安定した職業に就いているか、地域社会に積極的に参加しているかなどが評価されます。
3. 難民の認定を受けた場合
日本で難民として認定された者に対しても、永住許可の要件が特例として緩和される場合があります。
- 在留期間: 難民として認定された後、5年以上日本に継続して在留していることが必要です。難民は、特別な事情により母国に戻ることができない状況にあるため、日本での永住が認められることが多いです。
- 保護と適応: 難民認定後、日本社会でどのように生活し、適応しているかが審査されます。例えば、職業訓練を受けて仕事をしているか、地域コミュニティと良好な関係を築いているかなどが考慮されます。
4. 高度人材外国人の場合
高度な技能や知識を持つ外国人に対しては、日本の経済や技術発展に貢献する可能性が高いと見なされ、永住許可の要件が緩和されることがあります。
- 在留期間: 「高度人材外国人」として3年以上日本に継続して在留していることが条件となります。通常の在留資格では10年以上が求められるところ、高度人材外国人の場合は、短期間での永住許可が認められる特例が適用されます。
- ポイント制度: 出入国在留管理庁が定めるポイント制度において、70点以上を取得していることが条件となります。このポイントは、学歴、職歴、年収、年齢、研究業績などによって評価され、日本における経済的・技術的な貢献度を数値化するものです。さらに、80点以上を取得している場合には、在留期間がさらに短縮される特例もあります。
- 日本への貢献: 高度人材外国人としての活動内容や、日本への貢献度も審査の際に重視されます。特に、日本の技術革新や経済成長に寄与する実績がある場合、永住許可の取得が容易になる可能性があります。
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永住許可申請の流れ
永住許可の申請は、多くの手続きと準備が必要ですが、以下のステップに沿って進めるとスムーズに進行できます。
1. 必要書類の準備
永住許可の申請には、さまざまな書類を用意する必要があります。基本的な書類としては、パスポートや在留カード、住民票、税証明書、収入証明書などが含まれます。また、申請人の生活状況や職業によっては、追加の書類が求められることもあります。例えば、会社員の場合は在職証明書や給与明細書、自営業者の場合は確定申告書などが必要です。これらの書類は全て最新のものを提出し、不足がないように事前にチェックリストを作成すると良いでしょう。書類の準備が不安な方は行政書士などの専門家に相談しましょう。当事務所でもご相談を受け付けていますので、お気軽にお問合せください。
2.出入国在留管理庁への申請書提出
必要書類が揃ったら、次に法務省の地方出入国在留管理局に申請書を提出します。この申請は、原則として申請人本人が行う必要がありますが、行政書士などの専門家に依頼することも可能です。申請時には、提出書類に誤りや不足がないか、入念に確認することが重要です。誤りがあると、審査が遅れる可能性があるため、慎重に対応しましょう。
3. 審査の開始
申請が受理されると、審査が開始されます。この審査では、提出された書類に基づき、申請者が永住許可の要件を満たしているかどうかが厳密にチェックされます。特に、納税状況や社会保険の支払い状況、収入の安定性、過去の犯罪歴や違反歴などが重点的に審査されます。また、申請者の日本での生活状況や地域社会への貢献度も考慮されることがあります。
4. 追加書類の提出
審査の過程で、追加の書類提出を求められることがあります。例えば、申請時に提出した書類が不十分であった場合や、より詳細な情報が必要と判断された場合です。追加書類の提出には期限が設けられることが多いため、速やかに対応することが求められます。提出が遅れると、審査がさらに遅れる可能性があるため、注意が必要です。
5. 許可・不許可の通知
最終的な審査が完了すると、許可または不許可の通知が送られます。許可された場合は、新しい在留カードが発行され、「永住者」としての在留資格が付与されます。この在留資格には更新の必要がなく、永住者として日本で安定した生活を続けることができます。不許可となった場合には、その理由が明示されることがあり、不服がある場合は再申請や異議申し立てを検討することができます。
6. 永住者としての生活
永住許可を受けた後は、日本での生活において特別な制限がなくなります。例えば、在留期間の更新手続きが不要となり、就労の制限も緩和されるため、幅広い職種に就くことが可能です。また、永住者として社会的な信頼も高まり、住宅ローンの取得や各種サービスの利用がしやすくなるメリットがあります。
永住許可申請のポイント
永住許可を申請する際には、いくつかのポイントに注意を払う必要があります。以下に、特に気を付けるべき事項をまとめました。
日本での居住年数が緩和されるケースを確認する
まず、申請者が日本に住んでいる年数が、必ずしも10年を満たす必要がない特例があるかどうかを確認しましょう。現在の在留資格の種類や、これまでの日本での居住年数に応じて、年数が短縮される場合がありますので、自分が該当するかをしっかりと確認することが重要です。
信頼できる身元保証人を選定する
永住許可申請の際には、身元保証人を選ぶ必要があります。ただし、一般的な連帯保証人とは異なり、法的に強制的な責任を負うわけではありません。そのため、保証人となってもらう際には、その点を十分に説明し、納得してもらうことが大切です。
申請のタイミングを計画的に
永住許可の申請は、現在の在留資格が失効する前に行う必要があります。永住許可の審査には通常4ヵ月程度がかかるため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが求められます。もし、申請中に在留資格の期限が近づいた場合は、更新手続きを忘れずに行いましょう。
永住許可が取り消されるリスクを理解する
永住許可が一度認められても、一定の条件下では取り消しとなることがあります。例えば、再入国許可を受けずに日本を離れたり、みなし再入国許可で出国後、1年以内に再入国しなかった場合などです。また、不正行為や法律違反(住所不届出、虚偽の住所届出、重大な犯罪等)によっても、許可が取り消される可能性がありますので、常に法律を遵守し、適切な手続きを行うよう心掛けましょう。
不許可にならないための準備
万が一、永住許可が不許可となった場合でも、再申請は可能です。しかし、ただ再申請を繰り返しても、適切な対策を講じなければ同じ結果に終わる可能性が高いです。最初からしっかりと要件や提出書類を確認し、万全の体制で申請を行うことが重要です。申請に不安がある場合は、事前に行政書士に相談し、専門的なアドバイスを受けることをお勧めします。
さいごに
永住許可を取得することは、日本での長期的な生活を考える外国人にとって、多くのメリットがあります。永住許可を取得することで、在留資格の更新が不要になり、安定した生活基盤を確保できるだけでなく、社会的な信用も向上します。また、将来的には家族の呼び寄せや、住居購入の際の選択肢が広がるなど、日本での生活がより自由で豊かになるでしょう。
しかし、永住許可の取得には、厳しい要件を満たすことが求められます。特に、素行が善良であること、独立した生計を営む能力があること、そして日本国の利益に合うことが重要です。これらの要件をクリアするためには、長期間にわたり日本での生活を続け、安定した生活基盤を築き、社会に貢献することが求められます。日常生活においても、法律を遵守し、地域社会と良好な関係を築くことが大切です。
この記事が、永住許可を目指す方々にとって有益な情報を提供し、今後の準備に役立つことを願っています。永住許可の取得は、個人にとっても、その家族にとっても大きな転機となるため、しっかりとした計画を立て、必要な手続きを適切に進めることが大切です。
もし、永住許可の申請について不安や疑問がある場合や、専門的なアドバイスが必要な場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
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