図面作成も!?~行政書士の仕事~

「行政書士」という言葉を聞いて、多くの方がその仕事内容について具体的なイメージを持っていないかもしれません。私自身も、行政書士の開業準備を進めている際に、友人や知人から「行政書士って何をするの?」と聞かれることがよくあります。先日も、私が「行政書士としての開業準備をしている」と話したところ、驚かれるとともに「市役所で働くの?公務員?」という質問を受けました。確かに、「行政」という言葉が含まれているため、どうしても行政機関での仕事や公務員のような仕事だと思われがちです。

実際には、行政書士は幅広い分野で活動しており、法的な書類の作成や申請手続きのサポートを行っています。そんな中でも、多くの方が意外に思うかもしれないのが、「図面作成」という業務です。行政書士としてどのように図面作成が関わってくるのか、またその具体的なプロセスについてはあまり知られていないかもしれません。

そこで今回は、行政書士の仕事内容の一環として位置づけられる「図面作成」について詳しくまとめました。図面作成がどのような場面で必要とされるのか、どのように進めるべきなのか、具体的な方法や注意点についても触れながら解説していきます。行政書士の業務に興味がある方や、開業を考えている方にとって、参考になる情報をお届けできればと思います。

うつのみや
この記事は、こんな方におすすめ!
・図面作成に関心のある新人行政書士の方
・行政書士を目指している方
・行政書士業界に興味がある方

行政書士は書類作成のプロ!

行政書士の業務内容は、行政書士法に定められています。
以前もブログに書きましたが、行政書士の書類作成業務は主に3つに分類されます。

①官公署への提出書類の作成
②権利義務に関する書類作成
③事実証明に関する書類作成

「図面作成」の業務は、③事実証明に関する書類作成に該当します。

どんなときに図面作成をする?

役所への申請書類の中には、図面の提出が必要となるケースが多くあります。これは、申請する内容や業種に応じて、実際の施設や建物の配置、構造などを視覚的に示すためです。たとえば、飲食店の営業許可を申請する際には、店舗の内部レイアウトや設備配置を示した詳細な図面が必要です。この図面は、飲食店の運営に必要な条件を満たしているかどうかを確認するために使用されます。

また、障害福祉サービス事業所の指定申請を行う際にも、施設の内部構造を示す図面が必要です。これは、利用者の安全性や快適性を確保するために、施設が適切な設計であるかどうかを審査するために重要です。図面によって、施設のバリアフリー対応や各種設備の配置などが明示され、適切な支援が提供できるかどうかが判断されます。

その他にも、多くの申請手続きにおいて図面が要求されることがあります。たとえば、新たに建設する施設や改装を行う際には、設計図や配置図が必要とされることがあります。これらの図面は、申請者の計画が法的な要件や規制に合致しているかを確認するための重要な証拠となります。図面を通じて、申請内容が具体的にどう実現されるのかを視覚的に示すことができるため、役所での審査プロセスがスムーズに進行する助けとなります。

どうやって図面作成をする?

どのくらい詳しい図面が求められるかは、役所によって異なることがあります。また、申請する業務の内容や用途によっても基準が変わるため、要求される図面の詳細さはケースバイケースです。たとえば、ある申請では非常に詳細な寸法や仕様を含む精密な図面が必要とされる一方で、別の申請では簡略化された図面で十分な場合もあります。このように、図面の要件は申請の目的や役所の方針によって異なるため、事前に確認することが重要です。

先輩の行政書士の方々に話を伺うと、「習うより慣れろ!」や「実際にやってみないとわからない!」というアドバイスをいただきました。これらの意見からもわかるように、図面作成は実践を通じて経験を積むことが大切であるということがわかります。私自身はすでに行政書士として登録済みですが、現在は新人行政書士として活動を始めたばかりです。そのため、具体的にどのようなソフトウェアを使用して図面を作成するのかについては、まだ不明な点が多く残っています。

そこで、実際にどのようなツールやソフトを使って図面を作成するのかを調べることにしました。さまざまなCADソフトウェアや図面作成ツールが存在しており、それぞれに特長があります。これからの実務に役立てるために、どのツールが最も適しているのか、そしてどのように使いこなすのかを研究し、準備を整えていこうと考えています。

・Jw_cad(ジェイダブリューキャド) Jw_cad

Jw_cadは、インターネット上で無料で入手できる2次元汎用CADソフトウェアです。このソフトウェアは、主に建築設計や土木設計、機械設計など、さまざまな分野で広く使用されています。特に、建築設計においては、平面図や立面図、断面図などを作成するための多くの便利な機能が備わっています。例えば、寸法線や注釈の追加、図形の正確な配置、レイヤー管理など、図面作成に必要な基本的なツールが充実しています。

Jw_cadの最大の特徴は、その高いカスタマイズ性と柔軟性です。ユーザーが自分の作業スタイルに合わせて設定やショートカットを変更することができるため、効率的に作業を進めることが可能です。また、公式サイトやユーザーコミュニティから提供されるプラグインや追加機能を利用することで、さらに多機能にすることもできます。

加えて、Jw_cadにはYouTubeに多くの解説動画が存在し、これらの動画を活用することで初心者でも比較的短期間で使い方をマスターすることができます。基本的な操作方法から、より高度な機能まで幅広くカバーされているため、実践的なスキルを身につけるのに役立つでしょう。これから図面作成を始める方にとって、Jw_cadは非常に有用なツールであり、習得する価値が十分にあるといえるでしょう。

・Excel

Excelは、主に表計算ソフトとして知られていますが、実は簡単な図面作成にも利用できることがあります。先輩の行政書士の方々に伺ったところ、申請する書類によっては、Excelを使って図面を作成することが可能だと教えていただきました。特に、図面に求められる詳細さが比較的少ない場合や、寸法の正確さが重要な要素でない場合には、Excelでも十分対応できることがあります。

Excelを使った図面作成の利点は、その使い慣れたインターフェースと、簡単に編集できる点です。例えば、セルを利用してグリッド状のレイアウトを作成し、そこに必要な情報や注釈を追加することで、視覚的にわかりやすい図面を作成できます。また、Excelの図形描画機能やラインツールを使うことで、基本的な図面の構成要素を簡単に作成することができます。

ただし、Excelで作成した図面がすべての申請に適しているわけではありません。申請書類の内容や役所の要求によっては、より専門的なCADソフトウェアを使用する必要がある場合もあります。図面の要件や基準に応じて、Excelでの作成が適切かどうかを判断し、必要に応じて他のツールと併用することが重要です。Excelはその手軽さと柔軟性から、特定の状況では有効な選択肢となり得るでしょう。

・他の行政書士や建築士に依頼する

図面作成が非常に複雑で、詳細な技術や専門知識が要求される場合には、図面作成に特化した他の行政書士や建築士に依頼するのも一つの選択肢です。特に、精密な設計図や専門的な要件が含まれる図面の場合、専門家の助けを借りることで、より高い精度と品質を確保することができます。

注意!他人による業務取扱の禁止

さきほどの図面作成において、他の行政書士や建築士に依頼する場合は、お客様に委任状を書いていただいたり、改めて契約をし直したりして、「図面作成を誰がするのか」を明確にしておきましょう。

行政書士法施行規則 第四条
行政書士は、その業務を他人に行わせてはならない。ただし、その使用人その他の従業者である行政書士(以下この条において「従業者である行政書士」という。)に行わせる場合又は依頼人の同意を得て、他の行政書士(従業者である行政書士を除く。)若しくは行政書士法人に行わせる場合は、この限りでない。

つまり、行政書士はその業務を他人に行わせてはいけません。
ただし・・・
・その使用人その他の従業者である行政書士に行わせる場合
・依頼人同意をもらって、他の行政書士に行わせる場合
これらの場合は、その業務を他人に行わせることができます

これらの規則に従い、図面作成の業務を他の専門家に依頼する場合は、依頼内容や業務の範囲、責任の所在を明確にすることが重要です。適切な手続きと文書の取り交わしを行うことで、業務をスムーズに進めることができ、後の問題を未然に防ぐことができます。この点をしっかりと理解し、注意して図面作成を行いましょう。

さいごに

図面作成は、行政書士の業務の中でも重要かつ専門的な部分を担うものであり、申請手続きがスムーズに進むためには欠かせない作業です。行政書士として、図面作成に関する基本的な知識や実践的なスキルを身につけることは、業務の質を高めるだけでなく、クライアントに対するサービスの向上にもつながります。

図面作成のプロセスには、さまざまな方法やツールがあり、それぞれの状況に応じて最適なアプローチを選ぶことが求められます。Jw_cadやExcelなどのツールを上手に活用し、必要に応じて専門家に依頼することで、より確実な図面を提供することができます。しかし、どの方法を選ぶにしても、業務の範囲や要件をしっかりと把握し、適切な手続きを行うことが重要です。

また、図面作成に関する法律や規則を理解し、遵守することで、業務の信頼性を確保し、クライアントからの信頼を得ることができます。行政書士としてのスキルを磨き、専門性を高めることで、より多くのクライアントに質の高いサービスを提供し、充実した業務を展開していきましょう。

今回の記事が、図面作成に関する理解を深める一助となり、実務に役立てることができれば幸いです。私自身もまだ新人として学びながら実践している段階ですが、業務を通じて直面するさまざまな課題に対して柔軟に対応し、スキルを磨いていくことを目指しています。これからも学び続ける姿勢を持ちつつ、より良いサービスを提供できるよう努めていきます。

もし図面作成や行政書士業務に関してご質問やご不明点があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。


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